一 目 惚 れ 。 ページ2
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部活がなくてたまたま早く帰れた日、校庭の花壇の花を一生懸命撮影する彼女を見つけた。
手馴れた手つきで一眼レフと呼ばれるものを操作し、『カシャッ』とシャッターを切ると花を見て微笑む彼女。
満足気な表情で校舎へ戻っていく姿に俺はどうやら一目惚れをしてしまったらしい。
名前も知らん彼女に。
次の日もその次の日も、あの日あの場所で偶然出会えた彼女とは会えんかった。
マンモス校と言われるだけあってか、この学校の全校生徒は1500人ほど、ひとクラスごと探すなんてとてもじゃないけど出来ん。
ましてや名前も学年も知らん子、幼い顔してたけど先輩だったら相手にもされねぇななんて、一人でしょげてみたりする。
て「なーに辛気臭い顔してんの？」
そんな俺に話しかけてきたのは、二年になってから仲良くなって毎日一緒につるむようになったてつや。
と「おめーには関係ねぇよ…」
て「あら、としくんったら冷たい！」
と「うぜー、構ってる暇ねぇー。笑」
て「もう笑っとるやん！笑」
机に突っ伏しながらも絡んでくるてつやとわちゃわちゃして放課を過ごす。
その時、廊下を歩くカメラを持った女子を見つけた。
(ｶﾞﾀｯ)
机から音を立てながら立ち上がると、周りにいた奴らは驚いとった、特にビビリなてつやが。
このチャンスを逃したら次いつ会えるか分からねぇ。
そう思うよりも先に、俺の体は行動に移していた。
でも声をかけれんかった、廊下に出て、真っ先に目に入ってきたのはもちろんカメラを持ったあの時出会った彼女。
でもその次に目に入ってきたのは、隣にいる男子と仲良く話す、そんな光景だった。
彼氏持ちなら手は出せんやん…。
やり場のない怒りからか、呆然と廊下に立ちすくんでると後ろからてつやが肩を組んできた。
俺と同じ方へ目線を向けると｢あ、ゆめまるとAちゃんだ〜｣と腑抜けた声で言ってやがる。
てつやの知り合いなんか今はどうでもいい。と思ったその時、｢おーい！ゆめまる！Aちゃーん！｣と呼んで振り返ったのは俺が一目惚れした彼女とその隣を歩く男子だった。
友達になってから初めててつやに感謝した日だった。
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作者名：すーさん。 | 作成日時：2019年5月28日 0時
