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逃走 3 ページ25

酸欠で上手く回ってくれない脳内でこれまでの経緯を振り返ったわけだが、まあ要は、怪しまれる事なく逃走に成功したという事だ。

しかし、成功はしたが逃げ切れてはいない。
現に、今もすぐ背後で土を踏み鳴らす音が迫ってきている。

正直に言おう。 超怖い。

さっきまで2人共声掛け合ってたのに、何故今は無言なんだ。
こんなに本気で逃げた事なんて、前世含めて1度も無いぞ。
殺される時でさえ、自分の死を悟って抵抗もしなかったというのに.......

だが、2人はそろそろ体力の限界。私はラインク村での山遊びのおかげで、限界は近いが、まだあとほんの少し体力は残っている。

かと言って、ここがただの1本道だったら、数秒も持たずに捕まってしまうが。障害物だらけの路地裏に感謝だな。

『ハッ、ハッ、ハッ........
 2人共!そろそろ諦めてくれないか!ロボロから、話をっ聞いたのならっ、分かるだろ!』
コ「ハッ、自、殺のっ、事か!」
『そうだ!私が、自分で命を絶つと、言っているのに、何故っ、追い掛けてくるんだ!』
コ「はあ!?お前、冗談でも、笑えへんぞ!」

本当に体力の限界が近いので、諦めてもらえないか交渉に出たが、呆気なく却下された。

そんなに自分達の手で私を殺したいとはな........

ここは1つ、立ち止まって彼等に私を殺す事のデメリットと自害のメリットを説明するか?

いや、頭の良い彼等の事だ。きっとデメリットを承知で私を殺そうとしているのだろう。

ならば、余計に止まるわけにはいかない。私のせいで彼等が国民に嫌われ、不信感を抱かれるなんて、断じて許容出来ない。

前世と景観が変わってしまい、もう何処を走っているか分からない路地裏を、右へ左へ、左へ右へと、頭がおかしくなるくらいに走り続ける。

膝が震え、視界が歪み、辛うじて息が出来る状態になっても。


『ハッ、ハッ.............ん?』

無我夢中で走り続け、ふと、彼等の足音も気配も息遣いも、何もかもが消え去っている事に気付く。

いつ無くなったのかも気付かない程必死だったんだな、私。

彼等は諦めてくれたのか?ようやくデメリットの重大さに気付いてくれたのか?ここは何処だ?私はラインク村に帰れるのか?

ちゃんと、彼等の足枷でしかないこの命を絶つ事が出来るのか?

疑問がぽつぽつと沸いてくるが、とりあえず彼等を撒いた事は確かだ。
今はラインク村に帰る手段を───

「A」

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とうみん(プロフ) - あなたの作品は情景描写がとても綺麗で、つい作品の世界観にのめり込んでしまいました。有名な小説家にも文才などありません。何度も何度も書き直してやっと傑作が生まれるのです。偉そうなことを言ってすみません。とてもおもしろかったです。ありがとうございました。 (9月3日 18時) (レス) @page36 id: a126db2d2e (このIDを非表示/違反報告)
るる - 読んでいてとても面白かったですよありがとうございます (2022年12月25日 16時) (レス) @page36 id: a2a90b5064 (このIDを非表示/違反報告)
ヒメル(プロフ) - またいつか、続きを書く気持ちが湧いたならどれだけ時が経っていようとも、遠慮せず作品をまた更新してください。どうか、貴方様の作品を心の底から待っている人がいることを忘れないでください。本当にありがとうございました。コメント2つもしてすいません! (2022年8月17日 12時) (レス) id: 803f58ab86 (このIDを非表示/違反報告)
ヒメル(プロフ) - 打ち切りの言葉にはショックを受けましたが、読んでいるだけの私には分からない作者様だけの事情もあると理解しました。面白く、読みがいのある作品をどうもありがとうございました。 (2022年8月17日 12時) (レス) @page36 id: 803f58ab86 (このIDを非表示/違反報告)
Ajisaaaai(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございました (2020年12月3日 8時) (レス) id: 4585525dae (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:クレア | 作成日時:2019年10月26日 16時

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