脅威 ページ11
ぽん、と何も気配を感じなかった所から突然肩を叩かれ、驚いて勢いよく振り返る。
そこには、影で顔があまり見えないフードの男が、何故か目を見開いて立っていた。
『っあ、な、何でしょうか？』
ゾ「......俺、ゾムっていうんや！知っとるやろ？この国の幹部！」
『は、はい！勿論ですゾム様！お会い出来て光栄でございます！』
久し振りに間近で見る、本物のゾム。
本当なら、抱き締めて「会いたかった」と泣き叫びたいところだが、そんな事をしたらバレてしまう上に、ゾムに不快な思いをさせてしまう。
だから我慢だ。
村娘の私は頬を紅潮させてゾムの顔を見つめ、幸せそうな笑みを浮かべる。
すると、ゾムの顔が一瞬曇り、その後お手本のような作り笑顔が彼の顔に貼り付けられた。
ゾ「......」
『どうしたんです？』
ゾ「ん？いや、何でもないで？
ただ、金の目って珍しいなぁって思ってな」
『え、そうなんですか？』
ゾ「おん。知らんの？」
『この村から出た事が無いので.....』
ゾ「ほ〜ん。
ここの国民はな、青とか黒とか緑とか色んな目の色しとるんやけど、金はほとんどおらんねん」
『へぇ〜！そんな珍しいんですか！』
ゾ「せやで。
特に、こんな綺麗な金の目は、今までに１人しか見た事ないわ」
そう言って、ゾムは心底愛しいものを見るようなとろけた目で、私の瞳をじっと見つめてきた。
何だその目は。ゾムのそんな顔、前世で１回も見なかったぞ？
あ、そうか。
きっと私が死んだ後に、凄く綺麗な金の瞳の人と出会い、恋に落ちたのだろう。
そんな大切な瞳で産まれてきてしまって、申し訳ない。
『ゾム様にそう言っていただけるなんて、本当に嬉しいです！』
ゾ「.......なあ、お前─」
ト「ゾム！お前ここにおったんか！
グルッペンが探しとるで！はよ来んかい！」
ゾ「すまんすまん、すぐ行くわ」
ト「ほんっとにお前は.......
あ、どうもこんにちは。我々国書記長のトントンです」
『初めましてトントン様！ラインク村のエリザベスです！』
ゾムが何かを言い掛けた気がしたが、今はそこに気を使っている暇はない。
赤いマフラーの男─トントンが来てしまったのだ。
ゾムはゾムで野生の勘が鋭くて危険だが、トントンは頭の回転が速くて洞察力が鋭い。
少しでも隙を見せたら、終わる。
そう気張ったのも束の間。
ト「じゃ、俺等はこれで」
私が恐れていた脅威達は、呆気なく私の前から立ち去った。
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とうみん(プロフ) - あなたの作品は情景描写がとても綺麗で、つい作品の世界観にのめり込んでしまいました。有名な小説家にも文才などありません。何度も何度も書き直してやっと傑作が生まれるのです。偉そうなことを言ってすみません。とてもおもしろかったです。ありがとうございました。 (9月3日 18時) (
レス) @page36 id: a126db2d2e (このIDを非表示/違反報告)
るる - 読んでいてとても面白かったですよありがとうございます (2022年12月25日 16時) (レス) @page36 id: a2a90b5064 (このIDを非表示/違反報告)
ヒメル(プロフ) - またいつか、続きを書く気持ちが湧いたならどれだけ時が経っていようとも、遠慮せず作品をまた更新してください。どうか、貴方様の作品を心の底から待っている人がいることを忘れないでください。本当にありがとうございました。コメント2つもしてすいません！ (2022年8月17日 12時) (レス) id: 803f58ab86 (このIDを非表示/違反報告)
ヒメル(プロフ) - 打ち切りの言葉にはショックを受けましたが、読んでいるだけの私には分からない作者様だけの事情もあると理解しました。面白く、読みがいのある作品をどうもありがとうございました。 (2022年8月17日 12時) (レス) @page36 id: 803f58ab86 (このIDを非表示/違反報告)
Ajisaaaai(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございました (2020年12月3日 8時) (レス) id: 4585525dae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クレア | 作成日時：2019年10月26日 16時
