私は、女王だった

混乱 ページ7

こんな偶然、あるだろうか。

前世で仲間だった14人の人物が、全員生まれ変わっているだなんて。いや、別に彼等だと決まった訳ではないが......

だが、グルッペンという名の新しい総統に加え、この人数......

子「Aさん、大丈夫？」
『.....ああ。心配掛けてすまないな』

しばらく考え込んでしまっていたらしく、気が付くと少年が不安そうな顔で私を見つめていた。

嗚呼、やっぱり情けない。前世と何も変わってないな。

そう思いながら、私を心配してくれている少年を安心させようと微笑んだ。

子「っ！
　 ううん！ええで！じゃ、俺もう行くな！」
『そうか？
　教えてくれてありがとうな』

すると、少年は慌てた様子で家を飛び出して行った。

少年を見送った後、再び椅子に座って思考をこれでもかと凝らす。

ライターだった頃から、頭の回転は速い方だ。
瞬時に状況を判断し、打破する術を見出だし、物事を成功に導く。
人々の上に立つ者の鉄則だと、前世で父上に叩き込まれた。

さて。
もし彼等全員が転生しているとして、その中に「兄さん」もいるはず。
なら、「兄さん」と瓜二つのあのお兄さんは.......

いやいや、そんなまさか。

彼等は私の事が嫌いだから、仮にお兄さんが「兄さん」だとしたら、私を見つけたらすぐに何処か遠くへ引っ越すだろう。

お兄さんはお金に余裕があるそうだが、引っ越す様子は無い。

なら、お兄さんが「兄さん」である可能性は低いか？それとも、ただ記憶が無いだけで......

『....ん？そもそも、何故彼等がここに来るんだ.....？』

混乱しすぎて、根本的な問題を忘れていた。

そうだ。グルッペン.....総統閣下は、何故ここに来るんだ？

......検地か何かだろう。ああ、きっとそうだ。それ意外考えられない。

もし総統閣下がグルッペンで、前世の記憶が無い場合、何かの拍子に前世を思い出されたりでもしたら困る。
それに、もし記憶があったとして、私(ライター)が生まれ変わっている事を知られたくない。今世は幸せに暮らしてほしいから。

総統閣下が来ている間、私はただの村娘を演じれば良い。
演技は“昔”から得意だからな。

計画準備→←不穏　２

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す