ぼろぼろな【ロート】 ページ5
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____たとえ望まれなくとも、不幸だった人達のために。
『偶々幸運』だった私は、せめて幸せに生きなければならないのだ。
その言葉を、私は心から嘲笑っていた。
ねぇ、それと私の言ったことの、どこに矛盾があると言うの?
不幸だった人達のために、『偶々幸運』だった私は、せめて幸せに生きなければならない?
―――ねぇそれって、どんなに自分勝手な論理か知っている?
貴女が例え幸せに生きたとして、『偶々不幸だった』私達は、____ねぇ。
どうすればいいのさ?「貴女が私達の分まで幸せに生きてくれて嬉しいです」と言えばいい?
そうすれば貴方達は「よく言えました」と私達に拍手喝采してくれるおつもり?
・・・・・・はん、なんてバカみたいな理論だろう!!
私達の分までとはなんだろう?
私達が歩むはずだった道を、貴女が代わりに歩いてくれるの?
私達がするはずだった選択を、貴女が代わりにしてくれるの?
でもそれをしているのってさ、貴女でしょ?私じゃない。
・・・・・・それってさ。
一体『誰の為』なんだろうね?
少なくとも、私達の為なんかじゃなくて、エゴと我が儘にまみれた言葉だと私は認識しているけれどね。
『可愛い可愛い赤ずきん。スキップをしてどこへいく?』
「そこのおばあ様の家までよ!おばあ様のお見舞いをしにいくの!」
『そうか、そうか、偉いねェ。・・・そういえば、そこに綺麗なお花が咲いていた。摘んでいってあげては?』
「まぁ!優しい優しい狼さん、どうもありがとう」
―――たまに、・・・・・・いやよく、この夢を見る。
にやりと厭らしく笑った彼は、花畑を指差して私を誘った。
寄り道はいけないと言われているにも関わらず、花を摘む私。
おばあ様の家にいったら、そこに居たのは狼で。
ぺろりと唇を舐めると、鋭い爪で私の心臓部分をトン、と押した。
その鋭さが服を通しても分かり、私はぞくりとした覚えがある。
『服を脱ぎなァ、赤ずきん』
「え、あ・・・・・・」
『俺もさ、流石に布は食えねェよ』
赤ずきんの狼は、言いつけを守らない愚かしさと
本当の姿を隠す者の恐ろしさを表していると言われている。
巷では、狼に違う意味で『襲われた』なんて話があるくらい。
―――真実は、本人のみぞ知る、だが。
私は聞かれても、鼻で笑う。
「私、興味ないもの」
視界には、悲しそうに笑う猫井が入っていた。
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あぷり(元はる櫻)(プロフ) - 続編で更新します (2017年12月16日 17時) (レス) id: 1e40ca4b4e (このIDを非表示/違反報告)
総悟13@サブ垢(プロフ) - 終わりました (2017年12月16日 14時) (レス) id: 296183b3c6 (このIDを非表示/違反報告)
総悟13@サブ垢(プロフ) - 更新します (2017年12月16日 14時) (レス) id: 296183b3c6 (このIDを非表示/違反報告)
ツバサ(プロフ) - 総悟13@サブ垢さん» 遅くなってすみません、終わりました。 (2017年12月16日 13時) (レス) id: 0d08c1bb88 (このIDを非表示/違反報告)
梨紗(プロフ) - http://uranai.nosv.org/u.php/novel/e071ba2eb19/ 続編です。皆様の予約が終わり次第関連付けしますが、もし足りなくなった場合にはこちらに。 (2017年12月15日 19時) (レス) id: d43f25135a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梨紗 x他15人 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年12月3日 18時