四季紡ぎ。 (ページ7)

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First Time for Everyone. 【月ヶ瀬亨】ページ7

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僕の自室には絶え間なくピアノの音が響いている。こんな真昼間から弾いているのは、ショパンの『英雄ポロネーズ』だ。

自慢ではないけれど…、僕はそこらのピアノ奏者よりは上手いと思う。でなければ、こうやって四季紡ぎ達の専用寮にグランドピアノなんて設置しないからね。

そんなこんなで夢中になって弾いていると、早川さんの声がした。……なにかの伝達だ。

最初の方はなんとなく彼女の声を聴いていたが、よくよく耳を澄ますと、内容はなんと僕らの “初陣” のことだった。

「へーえ、『初雪奪還作戦』ね。ついに初陣って訳か…」

僕達の季節の到来、という訳であり、更には僕達の “初陣” だ。
まあ、誰にしろ “初めて” はあるものだけれどね。

……僕に務まるかはわからないが、とりあえず頑張ろう。

一通り曲を弾き終わったので時計を見る。…なんとまあ遅刻しそうな時間だ。既に皆は所定の位置に着いている頃だろう。

…とりあえず位置につく前に早川さんのところに行って作戦立案とかについて語ろうかな。

「……でも、もうちょっとピアノを弾いていたかったな…」

すると僕は近くの机に置いてあったコーヒーポットを手に取り、お気に入りのマグカップに熱めのコーヒーを注ぐ。
それを一気に喉に押し込み、やる気を引き立たせる。

嗚呼、やっぱりとても熱い。喉が火傷してないと良いんだけど。

そしてお気に入りの革靴を履き、気を引き締めるようにワイシャツの第2ボタンをしめる。しかしあろうことか、僕はさっきまで弾いていたピアノ曲の楽譜(スコア)を抱きかかえたまま廊下を駆けていった。

ハラハラと音を立てて何枚か楽譜が廊下に落ちたが、気にしてる暇はないので無視した。

……できればのお願いだけど、誰も楽譜を踏みませんように。
楽譜って高いし廃版になっちゃってるやつとかもあるから、買い直すの面倒なんだ。

誰かが拾ってくれるだろうと信じて＿＿

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