四季紡ぎ。 (ページ15)

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緊張【月ヶ瀬亨】ページ15

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廊下を駆けながら腕時計を見た。

＿＿恐らく、時間的に早川さんのところに行くのは厳しいかな。また今度にしよう。

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転移所に着くと、思った以上の人の多さに圧倒された。
まあ、遅く行ったのも悪いんだけどね。

「うわー、いっぱい人いる…」

…これは『遅刻』という扱いになるのかな？

とはいえ、まだ戦いが始まっていないということは遅刻ではないだろう。それに加え、もう少しだけのんびりできる筈だ。

とりあえず僕の周りにいる人々を見回す。
そこには、友人と話す者や緊張している者、その他諸々の様々な人がいた。

「すごく、壮観だな…」

心なしか、僕の心臓も鼓動が速まってきた。…僕も緊張してきたのかな。

まあ…この世の行く末やら云々(うんぬん)とまでは行かないけれど、『初雪』という冬の季節が取り戻せるか否かは、僕らの双肩(そうけん)にかかっているのだから。

それに1期生は大敗してるしね。しっかりやらなきゃ。

「…よしっ、緊張をほぐすために何かしようか！」

やっぱりここはベタだけど、誰かと会話をしようかな。

しかし幸か不幸か、僕には顔見知りは少ない。皆とは年が離れすぎてて、特に彼らからは滅多に近づいてこない。不思議だ。…なんでだろうね。

滝宮くんや暖くんを探してみたが、現時点で僕の視界にはいない。奥の方にいるのかな？

まあでも折角の初陣だし、もうちょい顔見知りを増やそうかなー。

ということで、転移所を散策することにした。
誰か僕に話しかけてくれる人いるかな、とわずかな期待を胸の奥にしまって。

「あー。そういえば……今持ってる楽譜(スコア)、どうしよう。戦闘で燃えそうだなあ。困った…。後方支援の人にでも預けようかな…」

誰か。誰でもいい。この場合知らない人でもいいから、この戦闘が終わるまで持っててくれる人いないかな…。

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