「…だりぃ」 ページ3
『…だりぃ』
Aが次に目を覚ましたのは、また一日以上寝ていなければ翌日の朝で、時計を見たら朝食の時間だった。
なんか食べた記憶ないけど大丈夫か?と思いながら、上半身だけ起き上がれば頭も体も重く、完全に寝すぎたと感じる。
何も食べてないと思うとお腹がすいてくるもので、グーっと鳴るお腹を撫でながら、Aは辺りを見渡した。
硝子の姿はなく、枕元には飲み物とゼリー。
何も食べないよりマシかと、Aはゼリーに手を伸ばした。
その瞬間、ガラリとドアが開く音が部屋に響く。
ゼリーに伸ばした手をそのままに目線だけをそちらに向ければ、入口にはトレーを持った悟が立っていた。
悟「…飯、持ってきた」
それだけ言った悟はスタスタとAのいるベッドまで近づき、ベッドテーブルを用意する。
その上に持ってきたトレーを乗せて、出ていくのかと思えばベッド横の椅子に座った。
あっという間の出来事にAはポカンとしていたが、悟が座ったのを見て、悟からトレーへと視線を移した。
トレーの上にはちょっとしたおかずと、卵雑炊。
それを見たAのお腹がまた鳴った。
『…いただきます』
気まずい雰囲気の中、食欲に勝てる訳もなくAは珍しく手を合わせてから食事を開始した。
その様子をじっと見つめる悟。
初めは気にしないようにしていたが、半分ほど食べてお腹も落ち着いてきた頃、我慢できなくなったAは一旦食事を止めて悟を見た。
『いつまでいんだよ』
目が合えば気まずそうに逸らされ、Aは悟の方を見るのをやめた。
悟「…ありがとな」
また食べ始めるためにスプーンを持ったAの手がピタリと止まる。
信じられないという表情で悟を見れば、悟は眉間に皺を寄せた。
悟「なんだよその顔」
『いや、お礼言えたんだと思って』
悟「はぁ?そんくらい言えるっての!」
随分となかったこの感じ。
久々のことにAは「そーっすか」と、小さく笑った。
それを見て怒っていた悟は目を丸くする。
悟「…悪かったな」
また目を逸らしながら小さな声で言った悟。声が小さくても、近くにいたAにはしっかりと聞こえた。
悟「お前は術師として人を助けた。あの言葉は取り消す」
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涼羅 - 最高すぎます! 夢主くんの不器用な優しさが大好きです!このまま全員で幸せに暮らしてくれー…(;;) (11月6日 20時) (レス) @page34 id: e29423faae (このIDを非表示/違反報告)
mami(プロフ) - すごくすごくすごく面白かったです!!!! (2023年2月20日 1時) (レス) @page34 id: a8940d6b3a (このIDを非表示/違反報告)
M - ハピエンサイコーです!!!!面白かったです!! (2022年11月9日 22時) (レス) @page34 id: 4b18ae76aa (このIDを非表示/違反報告)
来世はマカロニになりたい - めっちゃこの小説大好きです!!!番外編とかちょー好きです!!!!!!! (2022年3月27日 18時) (レス) @page34 id: ce524a8807 (このIDを非表示/違反報告)
moo(プロフ) - 最高に面白くて良かったです! (2022年2月6日 12時) (レス) @page34 id: 8c70df45d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アコ | 作成日時:2021年2月27日 3時