「…ハイ、大丈夫です」 ページ9
「いらっしゃいませ、お席にご案内致します」
ケーキを食べに行くと聞いていたから、女の子に人気のカフェなどを予想していたが、到着したのはいかにも高級という店。
店員と親しげに話しているところを後ろから見ていた傑は、この2人はかなり常連のようだと思った。
店に入る前に、もう大丈夫と言って繋いでいた手は離した。流石に中まで繋いで入るわけにはいかない。
傑はそう思っていたが、姉弟は腕を組んだまま店内に入っていったのでもう考えることはやめようと思う。
案内された席もまさかの個室。
予想していたがメニューを開けば見たことの無い値段のケーキ。
これほど着いてこなければよかったと思ったことは無い。
悟と出会って、私生活から彼がどれほどお坊ちゃまだったのかは理解していたが、最近は一緒に生活していく中で傑や硝子と同じものを食べ、高級なんて程遠い生活をしていた。
しかし、休日に姉と一緒となるとやはり元の生活に戻ってしまうようだ。
『久しぶりだから迷うなぁ〜期間限定もあるよ』
悟「全部頼めばよくね?」
『そんなに頼んでも食べきれないでしょ?』
この店で金額ではなく、胃袋の大きさで進む会話に傑はもう何も言えない。
『傑くんは何食べたい?お姉さんの奢りだから好きなだけ頼んで』
傑「いや、流石に奢りは…」
『大丈夫だよ、前のお給料も入ったばっかだから』
そう言われても、この値段のケーキを軽々頼もうとは思えない。
手のひらに変な汗をかくのを感じながら、傑はメニューを見るのをやめた。
悟「これくらいなら食えるから大丈夫だって」
『じゃあちゃんと食べてよ?』
そんな会話が聞こえてそちらに視線を移せば、Aが傑にメニューを見せてくるところだった。
『この辺1個ずつ頼むでいい?』
傑「…ハイ、大丈夫です」
合計金額は考えないようにしよう。
傑はそう思いながら引き攣らないように口元を無理やり上げた。
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面白い - 好きぃぃぃぃぃぃぃぃです!素敵な作品をありがとうございます♡ (7月30日 10時) (レス) @page25 id: 692c19161a (このIDを非表示/違反報告)
ふぐひらめ - ほぅわはぁ〜(?)……好きです。完結ですか!? (2022年4月23日 21時) (レス) @page26 id: f76242864c (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - 夢主クセ強 www (2022年3月14日 23時) (レス) @page26 id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
ピ(プロフ) - なんだこれ最高かよ、、、、、、 (2021年7月29日 6時) (レス) id: 324728c5bd (このIDを非表示/違反報告)
うさ - うおおおおここで終わりですかァァァ (2021年7月18日 7時) (レス) id: c396716e54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アコ | 作成日時:2021年1月10日 1時