・ ページ7
まふまふside
僕らは駆け出した。今逢いに行くよA。
そらるさんが勢い良くドアを開けるとバンというドアの振動と共にゆっくり起き上がろうとするAの姿が目に入った。
白いシーツに白い枕や白い布団
全てが純白で少し怖いぐらいな綺麗なお部屋は個室で少し広い。だから僕らが結構な人数で来ても大丈夫なようになっている。
『…みっ…みんな…!』
少し突っかかりながらも涙を1粒すーと流しながら言葉を繋ぐ。半年ぶりに聞ける君の声に僕ら全員ベッドの周りに集まった。その際に、Aが目覚めたことによる衝撃で花瓶はluzくんの手から滑り落ちドアら辺に破片がとびっちているがお構い無しにAの方へ歩み寄った。
それぐらい、君が目覚めるのを皆どれだけ待っていたか。
ファンの皆も毎日Twitterに励ましの声を君のリプに送っていた。
皆、やっと覚めたよ
僕は起き上がろうとしているAの肩を両手で押して寝かせた。今は無理して起きなくていい。君が目覚めただけで今は十分だ。
『どんだけ、どれだけ、君が目覚めることを望んだか…』
ボクは抱きついた。もうダメだ、我慢ができなかった。嬉しくて、後悔ばかりしていた僕の心は今、晴れた。太陽が段々登ってくるみたいに暖かい、冷えきった僕の心は今、変わったんだ。ボクは思わず泣きじゃくった。そしたらトントンと優しく前みたいに背中をリズム良く触れる。触れる度に、ずっとこうして触れられて欲しかったんだと感じた。微かに服を着てでも伝わる君の手の温度は、植物状態だった彼女の手よりもずっと、人間の温もりを感じた。
『でも…っ…私なんで入院してるの?何かあったの?』
『…え?』
耳を疑ったよ。そのあと直ぐにナースコールを鳴らし医者や看護師と詰め寄った。その後すぐに身体検査をしAの母親と僕は診察室に入った。僕の向こう側に座る険しい表情の医者は低く声を囁いた。
『植物状態の時に脳が1部の記憶を無くしています。所謂“記憶喪失”というものでしょう。植物状態を利用して、本人の意識がない中色々と改ざんしていますね。』
『その記憶というものは戻るのでしょうか、先生?』
『戻る事は無いでしょう。結果彼女が辛い思いをした時の記憶だけが失われているので逆に良かったと思ってくださって大丈夫ですよ。お母さん』
・
341人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちょこ - とてもよかったです!その後話が欲しい! (2023年2月9日 20時) (レス) @page34 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
玲歌 - とても感動しました!やはりHAPPYENDはいいですね! (2019年12月8日 2時) (レス) id: 3f1cf7186f (このIDを非表示/違反報告)
名無し - やばい……1か月間iPad壊れてたから………コメントが出来なかった…… (2019年12月6日 18時) (レス) id: 7792404562 (このIDを非表示/違反報告)
いちごみるく(プロフ) - ゆめさん» そういうことだったんですね!理解がなくすみません…わざわざありがとうございます! (2019年11月27日 18時) (レス) id: 961225ba0c (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ(プロフ) - いちごみるくさん» 前作は夢主は無くなってしまいましたが、こちらはハッピーエンドで書きたかったので生きてますよ! (2019年11月27日 18時) (レス) id: 3ad22a6249 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ