もう、大丈夫だよ｡【歌い手】２

厳しい優しさと私の愛 ページ17

Aside





『お前、左腕痛くないのか？』





そらるは背の向きを変えて私の肩を両手で掴んだ。そらるさんのソワソワした雰囲気は苦手だ｡自分が何かをしてしまったのではないかと自虐をしてしまう。私は、何でもいいから笑ってて欲しい。人の涙も大っ嫌い。でも、美しい嬉し泣きは大好き。





『そらるが自分を責めてる方が私にとっては胸が締め付けられる程痛いんだ！！』





叱るように大きな声で扉の近くで立ち膝になるようにそらるさんに訴えた。“えっ”という顔をするそらるさんは混乱して私を抱えながらベットに戻そうとした。けれど、自分が惨めで抵抗し病室に入ると私はその場に立った。病室の床はひんやりとしていて靴下を履いていない私は背筋が凍りそうにゾクッとした。





『お前......自分がどういう状況か分かっているのか？もし、また倒れたら危ないんだぞ？だからさ、一旦ベットに戻ろう？』



『そらるの方が自分の今の状況を理解出来ていないし、今帰らせたらそらるはいなくなっちゃう！』



『......何言ってるか俺には理解できない。とりあえずお前は寝てろ。俺は看護師さん読んでくるからさ。』



『図星だから何もかもが当たったから話をそらせて知らんぷりなんて、そらるは本当に望んでいるの？』



『えっ......？』





泣き叫びながら私は彼に言った。そらるは本当に望んでいるのかって。そしたら、目を大きく見開きける君は嗚呼、君も変わりたいって思ってるじゃないかと思った。痛い程分かるよその気持ち。自分を傷付けないために話をそらせて周りを困らせないために我慢して。自分の言いたいことは心に閉じ込めて。大人だから大人だからと決めつけて、人を優先させてしまうその優しさは本当の優しさ？





人を喜ばせる為に我慢しすぎるのはそれは本当の優しさとは私は思わない。私だって、同じ境遇にいたよ。何年も前に、お人好しで知られた私はなんでも引き受けてそして､中学校で飼育していた兎が殺された事件で私は、犯人だった女子に“貴方が犯人役やって？貴方、優しいんだから引き受けてくれるよね？”そうやって、私は脅され拒否されたら何やられるのか分からないから引き受けるしか無かった。





本当はやりたく無かった雑用係や動物の命までも奪う事を擦り付けられて、どれ程私は我慢したか。その人しか分からないんだ。





だから、自分の気持ちは態度とかじゃなくて､口で言ってくれないと伝わらない








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