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3話 桂視点 ページ4

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「ほら、着いたぞ」



人気(ひとけ)の少ない路地を通りつつ、歩いて15分。我が拠点へと無事到着した。エリザベスにも手伝ってもらい、女を部屋の中へ案内した。

今日は酒も入っているし、さぞ身体的にも精神的にも疲れているだろう。そう思い、押し入れから布団を1セット出す。

生憎客人用の布団は持ち合わせていないから、今日は俺の布団を使ってもらうしかない。客人が来るなど皆無に等しいからな。



「すぐに布団を敷くから、今日はもう寝るといい」

『あの……貴方の寝床は大丈夫なのですか?』

「心配いらん」



攘夷志士たるもの、睡眠など取らなくても平気でなくてはな。……いや、勿論人間だから限界はあるが。

布団を敷き、女の手を引く。眠気が回ってきたのか、こっくりこっくりと舟を漕いでいた。



『すみません……こんな私に、ここまで優しくして下さって』

「構わん。しかし俺も暇ではない。明日には出てもらうぞ」

『ええ、勿論……本当に、ありがとう……ございます……』



スッと瞼のカーテンが下ろされ、すぐに寝息を立て始めた。安らかな表情で、規則的な寝息を立てる度に、上半身が少しばかり上下運動を成す。

──こうして改めて見ると、線の細い、繊細な美しさだ。深淵の蒼髪は、月明かりに照らされて細かい毛の一本一本も輝いて見える。

そんな彼女の目尻には、苦労の証であろう隈がうっすらと浮かび上がっていた。旦那に苦労させられ、不眠でも患っているのだろうか。今は酒の力もあるせいか、よく眠っているが。



「……せめて今日だけは、旦那の事を忘れてゆっくりと休むといい」



するり、と頬を指でなぞる。

丁度タイミング良くもぞりと動いたので、気付かれたかと慌てて手を引っ込めた。しかしまた寝息を立て始めたので、今のは寝返りを打っただけだったようだ。

さて……俺もそろそろ休まないとな。布団がない俺は、部屋の角の壁に背中を預ける。

この体勢、翌日体を痛めなければ良いが。できるだけ楽な体勢を作り、瞳を閉じると間もなく睡魔に誘われた。

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設定タグ:銀魂 , 桂小太郎 , 逆ハー   
作品ジャンル:アニメ
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復活のU(うp主)(プロフ) - これ桂さんオチの夢小説だけど、他キャラとの裏短編集とか作りたいとかぼちぼち思ってます。決して上手くはないんだけど、助平だから裏要素満点なの書きたくなっちゃう。 (2017年8月31日 23時) (レス) id: c4fae3913d (このIDを非表示/違反報告)
復活のU(うp主)(プロフ) - セルフツッコミしてしまいますが、春雨初登場時ってエリザベスいなかった気がする……ご都合主義という事で、多少の原作との食い違いなどはスルーして下さると嬉しいです(汗)これからもよろしくお願い致します。 (2017年8月28日 14時) (レス) id: c4fae3913d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:うp主@
作成日時:2017年8月19日 23時

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