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「やってみるだけいいですか?」
五条「いいけど、できねーよ。おこちゃまはおこちゃまらしくしてていいんだから」
「…おこちゃまじゃありません」
子供扱いされることが癪だったようで、Aは俺をキッと睨む。
いや、そういう意味じゃなくて…。
Aは真面目で、ひたむきだ。
俺がいないところで努力していることも知っている。
反転術式ができることには驚いたけど。
でも、そんなに急いで強くなろうとしなくていいよ。
そう言おうとした時―――
「術式反転 風」
―――ギュルギュルギュル ゴオオオオッ
五条「―――ッちょ、待て!A!」
時すでに遅し。
まるで俺の『赫』を見ているようだった。
”風”の発散と言う意味での技名なんだろうが――いや、そんなことよりも。
茫然している場合ではなかった。まずいことが起こった。
まず帳を下ろしていないこと。
そして、いくら空き地とはいえこの爪痕から出る残穢が誰のものか調査に入るだろう。
つまり、もうAを隠すことができない。
「…森林破壊しちゃいました、すみません…」
Aは申し訳なさそうに俺に謝罪した。
完全に俺のミスだ。見誤っていた。凄いのは呪力量だけではなく、呪力のコントロール方法、そしてそれをかみ砕いて解釈することのできる応用力。
この時点でもう、準1級呪術師に相当する。
「…先生?怒ってますか…?」
五条「――、怒ってないよ。凄いな!A!」
―――これは本心。
凄いよ、お前は。
紛れもなく”天才”。
「でも、先生のその笑顔は嘘だって分かります」
五条「…」
「普段笑って褒めたりしないですし。褒める時は結構けだるそうに褒めてくれるので」
五条「……ホンット、良く見てんのなぁ」
さてどうするか。
Aの呪術の残穢を見て考える。
もう、言い逃れはできない。
五条「ホントに凄いと思ってるよ。だからメシを奢ってやろう」
「……」
五条「なんだその目。でもメシの前に行く所がある」
「行く所?」
五条「1回行ったことあるけどな。高専に行く。俺の担任に会わせるよ」
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作者名:佐々 | 作成日時:2021年1月20日 13時