呪術師として ページ15
2007年8月
in the mind of Satoru.
産土神信仰の土地神。
間違いなく、1級案件だった。
祓った俺が言うんだから間違いない。
このところ、ずっと平和だったように思う。
”弟子”であるAの成長。少し痩せた傑。変わらず俺に悪態をつく硝子。
素直じゃないけど可愛い後輩の七海。
素直で可愛い後輩の灰原。
―――灰原 雄が死んだ。
「先生?どうしたんですか」
予定にはなかったけど、急遽Aと呪術の修行をすることにした。
高専には戻りたくなかったからだ。
五条「ん、なんでもない」
「なんか元気がないような…顔色も悪いですし」
まじまじと俺の顔を見るA。
今日、Aに会っていることを硝子に知られたら間違いなく言われるだろう。
『悲しい時にその傷を癒して欲しいと思う相手は、
実際のところ――Aに抱いている感情が、恋心かどうかはわからない。
でも、Aと過ごせば過ごすほど、特別なのだと痛感する。
今日は。今日くらいは。
自分の気持ちに正直に、一番心が穏やかでいられる相手と居たっていいだろ。
五条「いや、気のせい気のせい。で、なんだっけ?術式反転?」
「はいっ。この前先生がやってた『赫』、かっこよかったです。あれ何ですか?」
五条「術式の発散のこと。反転術式の反対だよ」
「発散…反転術式の反対…
反転術式はエネルギーを出して呪力をプラスにすることで…
術式反転はプラスの呪力を流すことで術式の効果を反対にするエネルギーを使う、ってことですか?」
五条「お前ほんと小学生じゃねーだろ」
いつもなら笑える場面も、今日は笑えない。
灰原は優秀だった。
でも、死んだ。
何故1級案件を灰原と七海にやらせた?
天内の時もそうだ。
何故、俺と傑にやらせた?
上層部のクズ共が。
火の来ないところでぬくぬくと、下らない会議ばかりするジジイが死なず、なぜ灰原が死ぬんだ。
俺が黙って心の中で叫び続けていると、Aはブツブツと独り言を言って「わかった!」と嬉しそうな表情をした。
「術式反転、分かった気がします。やってみていいですか?」
五条「……ジョーダンだろ、恥かくからやめとけ」
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作者名:佐々 | 作成日時:2021年1月20日 13時