甘く蕩けるようなその瞳。(JM.) (ページ2)

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『防弾少年団』と張り紙が貼られた控え室の扉をコンコン、とノックしてから室内へ入る。
挨拶が終わってから、と自分に言い聞かせながら、なんとか頭を垂れた。

「今回メイクの担当をさせていただく、Aです。宜しくお願いします」

満面の笑みで挨拶をすると、がやがやとメンバー達からよろしく、お願いします、と元気の良い返事を貰えた。
挨拶を貰える事は、素直に嬉しい事なのだ。

そうしてその内の一人が、駆け寄る形で私の方へと近づいてくる。

「あ、れ。……君は、」

聴き覚えのある声音と、幼さの残る端麗な顔つき。
鼓動が高鳴る事で、確信した。
ああ、彼は……。

「僕、ジミンなんだけれど……覚えてるかな」
「え？……あの、パク・ジミン？」
「そう、クラスメイトでレッスンも一緒だった。元気そうで良かったよ」
「ジミンの方こそ、凄く格好良くなっちゃって」

忘れる筈が無い、だって貴方は私の憧れで、好きだった人だから。
今にも飛び出てきそうな心臓を抑えるかのように、己の胸に両手を添え落ち着きを取り戻そうと試みる。

どうしてこんなに、私の気持ちは、そう、過去形の筈。
学生だった自分の中に抑え込んだのに。

そんな事を胸中で想い、燻らせながらも、先に彼のメイクをする事にした。