Dr.SnowMan

▽ ページ10

京本side

しょっぴーはいつもの優しい顔をさらに柔らかくして、Aちゃんと向き合ってる。

やっぱりしょっぴーに言ってよかった。俺や、康二ではやっぱりどうしようもできないことってあるから。


こっちを向いてくれなかったAちゃんが、しょっぴーの温かい言動で、こちらに歩み寄れる余裕が持てたみたい。


俺が隣に座っていても、最初は少し強張っていた体もだいぶ力が抜けたと思う。

さっきから、何かを言おうとしてはとどまって、呼吸が速くなって。

京本『ゆっくりでいいよ。大丈ー夫、笑』


『……、あのね、……もう、しんどい、』


渡辺『そうか、』


『……病院、しんどい、……っ、もう、やだ、』


やっと出た本音。出だしたら止まらないのか、ぽろぽろ涙も溢れてくる。


『……、がんばって、ごはんも、たべよ、とするんだけど、むり、っ、……、っ、こうじくん、もっ、きてくれる、けど、……、はぁ、っ、はぁっ、』

呼吸が乱れてきた。過呼吸だ。


ナースステーションで過呼吸の処置セットをもらおうと、急いで行く。


渡辺side

渡辺『A、ゆっーくりでいいよ。ちゃんと聞いてるから、息しんどいな、ふーってはけるところまで吐いてごらん。そしたら、上手く息吸えるから、』

小さな体でたくさん我慢したんだよな。

小さい頃のAによくやったように、膝の上で向かい合わせにして大丈夫だよ、と優しく背中をさすって頭を撫でる。


京本『お口に当てさせてね、大丈夫大丈夫、翔太先生もいるからね、みんないるよ、……』


向井『よー頑張ったもんなぁ、よしよし。』


過呼吸が落ち着いても、ごめんなさい、とずっと泣きじゃくり続けるA。

きょもも、康二も、泣きそうな顔をしてる。


渡辺『なんで謝るのー、なんにも悪くない。

よしよし、よーく頑張った、……』


やっぱり小児科に戻そう。

▽→←▽

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す