Dr.SnowMan

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椅子が倒されて、パチっとライトがつけられる。

田中『Aちゃん、もっと肩の力抜いてみ？』

樹くんが肩をぽん、と優しく叩いてくれる。

岩本『お口あけて、……もうちょっと頑張れるかなー、笑』

さっき笑いかけてくれた先生だって、分かってるけどやっぱり怖い。

岩本『……そうそう、そのままお口開けててよ、……じゃあ、この器具使うよー、痛くないからね。……』

確かに痛くない。ぎゅっと目を閉じてたけど、ちょっと力抜いてもいいかも。


岩本『ん、じゃあ一回うがいしよっか。次はレントゲン撮るから樹についてってね。』

レントゲンも撮り終わって、また椅子に案内される。

岩本『今からはもうお話だけ。分かんなくなったらいつでもストップーって言ってくれたらいいからね。

Aちゃんの親知らずは……』



岩本先生は私の親知らずを抜いた方がいいと言った。


歯を抜く、なんてことした事ないのに。


田中『Aちゃーん、笑、固まってたよ。

歯を抜くのって怖いよなぁ、俺も怖かった。

だけど、歯が痛いとさ意外に不便じゃない？

ずーっと気にしなくちゃいけないし、ご飯も美味しく食べらんないでしょ。ストレスだよな、

だから、ちょっと頑張って抜いちゃわない？知ってる？歯を抜くのって意外に早く抜けるんだよ。』

『……だけど、……』

岩本『……痛そう？』


『……うん、』

岩本『全く痛くないわけじゃないから、痛くないよって言えないんだけど。

でも親知らずの痛み程じゃないと思うんだ。』


別に強要もされてないけど、やっぱりそうするしかないんだろうな。


『先生がやってくれるんですか？』

岩本『違う先生もいるけど、俺でいい？笑』

『……ん、』

岩本『よし、えらいえらい、すごいじゃん。

怖かったら絶対無理やりになんかしないから、抜く時は樹にも隣にいてもらうようにするから、頑張ろうな。』

樹くんもえらい、と嬉しそうに笑ってくれた。

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