【歌い手】夢のようで、夢じゃない。

story.7／会う約束 ページ8

「ねぇ」

「何でしょうか…？」

「27日のライブ…来てくれる？」


じーっと私を見つめるともくん。
…それは、まるで何かを思いついた子供のようで。


「勿論ですよ」

「ほんと？じゃあ、ライブが終わったら…」


なんと、打ち上げ場所に来てほしいとのお誘いだった。

…これは、本当に現実なんだろうか。

まるで夢みたいで、頭が混乱した。


「…え、嘘ですよね」

「ほんとほんと！」


ニコッと笑うともくん。
…とても可愛くて、純粋な目をしていて。
私には眩しすぎる。


「じゃ、じゃあ…行きますね」

「待ってるよ」


ともくんは、優しい声でそう言った。


◆


「私の家、ここです」


私の住んでいるマンションに到着した。
なんだか、さっきまでドキドキで苦しかったのに、今ではなんだか寂しい。


「じゃあ、また今度ね」

「はい、また今度」


そう挨拶して、私はマンションの中へ入った。


「はぁ…」


郵便受けを確認し、長い廊下を抜け、エレベーターで自分の住んでいる階へ。
鍵を開けて、家に入り、鍵を閉める。


「うあーーー！！！」


それから、自室のベッドにダイブして顔を埋めた。
思い出すだけで顔が火照る。


「うぅ…」


ライブ後に会う約束。
…一応頬を叩いてみると、痛い。


「現実、か…」


私は、枕に顔を埋めた。

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