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page22「彼の気持ち」 ページ30

その言葉を残し、彼は背を向けて病室から出て行こうとする。

その背中がなんだか寂しそうに、悲しそうに見えて。

____待って

咄嗟に彼に向けて手を伸ばす。
だが、距離がありすぎた所為か手は届かない。

距離がまた広がる。
広がって広がって、ドアノブに彼は手をかける。


「まだ話は終わってないよ…!!」


選んで選んだ言葉には少し棘のある言い方だった。少しでも引き止めれるように。


____少しでも、また同じ後悔をしない為に。



私の勢いのある言い方に、彼はドアノブにかけた手の動きを止めて、チラリと私を見た。

その目と私の目が合うと、ぱっと逸らされる。
そして、


「終わったよ…!君との……Aちゃんとの話は。」


今まで堪えていた物をぶつけるかのような、実際叫んでいる訳じゃないのに叫んでいるとも受け取れる言い方を私に向けるまふくん。

その言い方に私は少し怯むも、言葉を返す。


「終わってない…!『それでいいよ』って何…!?私はそらるさんについてだって知りたいし、何より私はまふくんのそんな悲しそうな顔なんて見たくない…!!」



「五月蝿い…!!知りたい知りたいって簡単に言うけど、教えるのは楽じゃないんだよ!!!」

彼の瞳は明らかに涙目で、言いようのない大きな罪悪感が私に押し寄せて私も涙が込み上げそうになる。


「まふく…」


どう返していいかわからなくなって、なんて言ったらいいかわならなくなって。

でも無意識に彼の名前を呼ぼうと、まふくんと呼ぼうとする前に彼が、あの勢いとは違う、本当今にも消えそうな声で私を遮り、言葉を紡いだ。




「いい加減……気付いてよ……!
何も思い出さなくていいから、思い出さないままでいいから……気付いてよ、僕の気持ちに…!!」

page23「無意識」→←page21「決めつけ」



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設定タグ:歌い手 , そらる   
作品ジャンル:恋愛
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雨中と猫。(プロフ) - ちょこさん» うわああああんすみませえええええんがんばります (2022年2月10日 2時) (レス) id: dcb807c257 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - 更新が止まってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます!(´;ω;`) (2021年12月20日 22時) (レス) @page49 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
雨中と猫。(プロフ) - いちごポテトよーぐるとさん» 返信が遅くなりすみません!めちゃくちゃ嬉しいです、現在別作品「笑えないって」リメイク更新中ですのでもう暫くお待ち下さい!! (2021年12月9日 18時) (レス) id: dcb807c257 (このIDを非表示/違反報告)
いちごポテトよーぐると(プロフ) - 色々な感情で涙が……とても面白かったです…。更新待ってます、! (2021年8月17日 0時) (レス) id: 33ba1212be (このIDを非表示/違反報告)
雨中と猫。(プロフ) - 眠夢_さん» うわああああありがとうございます!!今メインで書いている「笑えないって」という小説のリメイクを行っていてそちらが落ち着き次第こちらも更新しようと考えております!絶対完結はさせますので何卒ー!! (2021年8月13日 3時) (レス) id: 6b41ff11b2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雨中と猫。 | 作成日時:2017年4月29日 2時

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