page12「偽りの悪夢」 ページ20
2人の幼い少女達が、両親と思われる人と笑ってる。
楽しそうに、屈託のない表情を浮かべているようだ。
生憎、周りはぼやけており、私自身の姿すら確認できない為、その少女達の顔を見ることはできない。それ以前に近づけないようだ。
そこで、これは夢なのか、と理解する。
ぼんやりとその光景を眺めていると、遠いはずなのに耳元で声が聞こえた。
『なんでおねーちゃんのお小遣いのほうが多いのー!!!』
『それは〇〇が**より偉いからだよー』
なんて年相応のお小遣いの金額の話をしていた。
名前は、よく聞き取れなかった。
『だったら、**も偉くなる!!おねーちゃんと同じくらい!!!』
『じゃあ、〇〇は分身ができるってことになるね!!』
よくわからないが、得体の知れない何かがこみ上げてくる感覚があった。
それを境にグルグルと周りの情景が変わっていく。
やがて2人の少女達がもう社会人か、と思うほど、2人の容姿は遠目からでもわかるくらい大人になっていた。
周りはさっきまで真っ白な空間だったのに、今は見覚えのあるような部屋だった。
『歌い手スーパーお姉ちゃんは人気だねぇ〜、なんか遠い存在みたい』
と笑っている【誰か】がいる。
『ふははは!崇めよー!!スーパーお姉ちゃんだぞー!!!』
なんて冗談交じりに【誰か】に抱きつく彼女。
2人の容姿はとても似ていた。
それは第三者として此処にいる私では見分けがつかないくらいに。
仲が良さそうにじゃれあっている2人はきっと双子なのだろう。
そこで少しの静寂が訪れた。するとまた情景が変わりだす。
誰かが走ってくるのが見える。
彼女らではない。
黒髪の、クルクルした髪の男性だ。
確か、名前が
「…………【そらる】」
呟くと男性は私の方に顔を向けた。
またぼやけててわからない。でも、目が合ったような気がした、が気の所為だったのか何事もないように走っていく。
何に焦っているのかわからず、その彼の姿を目で追いかけ
たどり着いたのは一つの病室だった。
心臓が掴まれた気がした。
頭がガンガンと鳴り響く。
本能が聞きたくないと拒んでいる。
本当は、名前が聞こえないなんて嘘だ。
私が、聞きたくないだけなんだ。
夢のはずなのに、冷や汗が流れる。
蓋をしたはずの感情が暴れ出しそうになる。
これから何を見ようとしているのかわからない。だけど見たくない。
「覚めて!!早く覚めて!!!」
ただそう願うしかなかった。
981人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雨中と猫。(プロフ) - ちょこさん» うわああああんすみませえええええんがんばります (2022年2月10日 2時) (レス) id: dcb807c257 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - 更新が止まってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます!(´;ω;`) (2021年12月20日 22時) (レス) @page49 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
雨中と猫。(プロフ) - いちごポテトよーぐるとさん» 返信が遅くなりすみません!めちゃくちゃ嬉しいです、現在別作品「笑えないって」リメイク更新中ですのでもう暫くお待ち下さい!! (2021年12月9日 18時) (レス) id: dcb807c257 (このIDを非表示/違反報告)
いちごポテトよーぐると(プロフ) - 色々な感情で涙が……とても面白かったです…。更新待ってます、! (2021年8月17日 0時) (レス) id: 33ba1212be (このIDを非表示/違反報告)
雨中と猫。(プロフ) - 眠夢_さん» うわああああありがとうございます!!今メインで書いている「笑えないって」という小説のリメイクを行っていてそちらが落ち着き次第こちらも更新しようと考えております!絶対完結はさせますので何卒ー!! (2021年8月13日 3時) (レス) id: 6b41ff11b2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:雨中と猫。 | 作成日時:2017年4月29日 2時