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page11「矛盾」 ページ19

「だって、クルクルした髪の人はね、おばさんが落ちた時、【A】なんて呼ばなかったもん!」



自信ありげに胸を張って答える光希くんは自分が間違っているとは微塵も思っていないようだった。
それを見て、本当に【A】が自分の名前なのか不安になってきた。

なんて答えていいのかわからずに、私は何も言えなかった。




「それじゃあ、問題です!おばさんの名前はなんでしょーかっ!!」





右手を上げて、いたずらっ子のように笑いながら私に問う。
私はそれに答えようと、思考を巡らす。

だが、その答えはどう考えてもわからない。






_______私は、誰?






考えに考えても、一文字も頭に浮かばない。
すると、光希くんは笑った。





「自分の名前でしょー!!そのくらい答えてよー!」





笑いながら軽く言ったその言葉は私に重い圧力をかけた。
不安が押し寄せてくる。目の前が見えない。怖い。逃げたい。消えたい。

わからないことがこんなにも怖いことだなんて知らなかった。


なんで、なんでわからないの。









_______私は、誰。









「すみません、ありがとうございましたー!」





「へ…」




無意識に俯いていた顔を上げると光希くんのお母さんの姿があった。
あぁ、タイムリミットはきてしまったようだ。

いきなりのことで間抜けな声が出たが、そんなことは気にせず光希くんの母親は続けた。




「本当に助かりました、改めて前回のも含め、お礼に伺うので。
光希、帰るわよ!お姉さんにバイバイして!」




母親にそう言われ、素直に光希くんは私に向かって「じゃーね」と屈託もない笑顔で私に手を振った。そして私に背を向けて行く。


「では、また」と母親も言って、背を向けた。



待って。行かないで。答えは何。私は誰。
言いたいことがありすぎて言葉が詰まってしまい、何も言えなかった。





きっと、キヨくんもまふくんも答えてくれないであろう質問。
いや、【A】という名前が本物で光希くんが間違っているのではないだろうか。


自分を正当化したいが、そうすれば光希くんが言っていたことはどうなるのだろうか。
嘘を言っているようには見えない。

だからと言ってしまえば矛盾が生まれる。
矛盾を生まない理由としては、


名字を呼んだから勘違いしたから、

または
































誰かと私が似ていて、名前を間違えて呼んでしまったのではないだろうか。

page12「偽りの悪夢」→←page10「名前」



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作品ジャンル:恋愛
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雨中と猫。(プロフ) - ちょこさん» うわああああんすみませえええええんがんばります (2022年2月10日 2時) (レス) id: dcb807c257 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - 更新が止まってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます!(´;ω;`) (2021年12月20日 22時) (レス) @page49 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
雨中と猫。(プロフ) - いちごポテトよーぐるとさん» 返信が遅くなりすみません!めちゃくちゃ嬉しいです、現在別作品「笑えないって」リメイク更新中ですのでもう暫くお待ち下さい!! (2021年12月9日 18時) (レス) id: dcb807c257 (このIDを非表示/違反報告)
いちごポテトよーぐると(プロフ) - 色々な感情で涙が……とても面白かったです…。更新待ってます、! (2021年8月17日 0時) (レス) id: 33ba1212be (このIDを非表示/違反報告)
雨中と猫。(プロフ) - 眠夢_さん» うわああああありがとうございます!!今メインで書いている「笑えないって」という小説のリメイクを行っていてそちらが落ち着き次第こちらも更新しようと考えております!絶対完結はさせますので何卒ー!! (2021年8月13日 3時) (レス) id: 6b41ff11b2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雨中と猫。 | 作成日時:2017年4月29日 2時

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