page7「護る」 ページ15
「……聞いちゃダメだったのかなぁ…」
まふくんが出て行った後も私は病室の扉を見つめ、
キヨくんに聞いて見る。
いや、聞くというよりも独り言に近いかもしれない。
それに対しキヨくんは同じように扉に目を向けた後、
私へと視線を向けた。
「…今のお前を護ろうと必死なんだよ、彼奴も。
何も思い出さない方が、いいんだよ」
そう言いながら私の頭を撫でるキヨくんの目は、
やっぱり私を見ていないようだった。
そのキヨくんの言葉が正しい選択なのかなんてわかるはずもなく、
私はただ「そっか…」と目を合わせることなく、曖昧な返事をするしか出来なかった。
フと、頭をなでられる感覚はつい最近にもあったものだと思い出した。
あの時は確か懐かしい、と思っていた
が、今は何も感じない。
ただ、『撫でられている』それだけだった。
『懐かしさ』なんてものは1つもない。
何故、と考えなくても少なからず予想はついた。
_________【あの人だから】
きっと【あの人だから】懐かしく感じたのだ。
だから、あの人ではないキヨくんには何も感じないのだ。
そうなると、益々あの人の存在が気にかかる。
_________あの人はいったい誰なんだろう。
思い出すな、って言われても、知るなって言われても、
私はあの人が誰なのか、
私のなんなのかを知りたくて仕方がない。
これは好奇心か、それとも興味本位か、
いや、そんな単純なものではない。
私の脳にこびりついている何かが、
思い出さなければならないとあの人を強く望んでいるのだ。
_________ごめんね、2人とも
_________今の私は護られるほど弱くはないよ。
_________だから
_________前の私を返してください。
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雨中と猫。(プロフ) - ちょこさん» うわああああんすみませえええええんがんばります (2022年2月10日 2時) (レス) id: dcb807c257 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - 更新が止まってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます!(´;ω;`) (2021年12月20日 22時) (レス) @page49 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
雨中と猫。(プロフ) - いちごポテトよーぐるとさん» 返信が遅くなりすみません!めちゃくちゃ嬉しいです、現在別作品「笑えないって」リメイク更新中ですのでもう暫くお待ち下さい!! (2021年12月9日 18時) (レス) id: dcb807c257 (このIDを非表示/違反報告)
いちごポテトよーぐると(プロフ) - 色々な感情で涙が……とても面白かったです…。更新待ってます、! (2021年8月17日 0時) (レス) id: 33ba1212be (このIDを非表示/違反報告)
雨中と猫。(プロフ) - 眠夢_さん» うわああああありがとうございます!!今メインで書いている「笑えないって」という小説のリメイクを行っていてそちらが落ち着き次第こちらも更新しようと考えております!絶対完結はさせますので何卒ー!! (2021年8月13日 3時) (レス) id: 6b41ff11b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨中と猫。 | 作成日時:2017年4月29日 2時