惑わせる彼Ⅴ【紫】 (ページ33)

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ドキドキしスギページ33

深澤「はぁい。お家着いた。」

『もう着いちゃいましたね。残念』

さっきまでつながっていた手を、どちらかともなく離す。
バレンタインにこんなに贅沢をしていいんだろうか。

深澤「じゃあ、今日はありがとう。しっかり受け取ったから！」

『おやすみなさい。また今度遊びましょ！』

深澤「大体来週からは俺暇だから。誘ってくれたらすぐ飛んでくよ」

『・・・飛んできてくれるんですか？』

深澤「当たり前じゃん。こーんなにかぁいい子のお願い、断れないっての！」

少しだけ耳が赤くなりながらも、
いつものおどけ顔で私を玄関に入るまで見送ってくれる彼

自宅に着いてしまった。

さっきまで、この手で彼と手をつないで一緒に
・・・確かに隣にいられたのか。

一度はあきらめたバレンタインのお菓子も渡せたし
なんだかいつもよりもあまあまな雰囲気でドキドキが止まらなくなった。

これが深澤先輩の威力・・・か。

『あぁー。好きなんだな。やっぱり』

どうしても逃れられない彼への好意が今日は我慢が出来ないみたい
口にすればするほどあふれてくる

『顔がイイ。私の事をあんなにかわいがってくれる。声もいい。照れて顔をそむけるのも可愛い・・・・・・。』

どうしても焦ってはいけないのに
彼からの返事を求めてせかしてしまいそうになる

こんなに狂おしいほど好きになっちゃうなんて重症だな。

『いつか、報われたいんだけどなぁー・・・。』