惑わせる彼Ⅴ【紫】 (ページ29)

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切なスギページ29

店長「じゃあ、みんなお疲れ様でーす」

『はい、お疲れ様です』

渡辺「ねぇ、A。ちょうだいよ」

『はいはい、待っててー。』

目黒「お疲れ様です、今日はありがとうございました。」

お店から出て、渡辺君に渡そうと紙袋を覗き込む
青のラッピングと

取り残されている紫のラッピング。

『・・・はい。どーぞ』

渡辺「俺のクマ、なんか顔が眠そうじゃん」

『そっくりだと思うけどなぁ、渡辺君に(笑)』

渡辺「ありがと。」

『ほら、クリスマスに私貰ったしさ？お返しにちゃーんと他より多いから』

渡辺「まじ？俺だけ？」

『そう。しかも実は甘さ控えめ、さすがじゃない？私』

渡辺「・・・特別、ってこと？」

『最近送ってもらってるの、実はありがたいんだ。私帰り道寂しかったし』

これは本当。
だって一人で自転車こいで帰るより、渡辺君と歩いてる方が楽しいし

渡辺「俺も、特別だから。Aが。」

『そう？』

渡辺「・・・なんか恥ずかしいわ。帰ろ」

いつもどおり、二人で家に帰る
今日は最近会えていなかった友達とか先輩にあえたし、
お菓子を作るのも楽しかったもんな

渡辺「今度、俺とあそぼ？二人っきりで。」

『うん。もちろんだよ！約束したもんね(笑)』

ずっと渡したバレンタインのお菓子を見つめてはニヤニヤする渡辺君を
横目に

夜空を見上げる

あーあ、深澤先輩にも、渡したかったな。

『はぁ・・・。』

深いため息をしたところで、スマホが震える。

渡辺「ん？電話じゃね？」

『ほんとだ・・・・って。』