惑わせる彼【紫】 (ページ8)

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うっわ。

あんなに一階に応援に来た先輩たちが一気に私たちをじろっと見た。
そりゃそうですよね。
今日初めて来たんですもん。私。

はるな「私、今一階の方見れないんだけど。」

『奇遇だね、私もだよはるな。』

ぜーったいに怖い顔の先輩たちからの視線を感じる。
そんなことなんてお構いなしに、深澤先輩は私たちに手を振る。(岩本君の手だけどね)

私たちは少し控えめにそのお手振りに反応してなんとかやり過ごそうとする。
いやいや、視線が痛いなぁ・・・。

岩本「おいふっか！やめろってば！」

深澤「えー、いいじゃんかぁ」

岩本「態度でかいんだよ、でかいのは顔だけにしろって！」

深澤「おぉい！！！！やめろよ！！！！」

なんだか、アットホームな二人だなぁ。本当に仲がいいんだ。
ほほえましいなと思っていていると、体育館にホイッスルが響き渡る。

試合が始まるようだ。

各チーム、円陣を組んで士気を高める。
私は初めて試合を見るけど、ただ部内の試合ではなく大会のスタメンの選抜を兼ねているみたい。

はるな「ひーくん！！！！がんばってね！！！！」

一階や私たちの後ろの応援席にいる人たちに負けじと、はるなが声を出している。
なんかかわいいなぁ。

あれ、ちょっとだけ岩本君、はるなの応援に反応した？
本人はそんなこと気にせず必死に声かけているけどね。

そんな歓声の中、独り闘志を燃やしている。先輩。

深澤「負けらんないねぇ、今日は。」