惑わせる彼【紫】 (ページ29)

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『え？急にどうしたの？』

渡辺「いや、Aが誘ってくれたから、ここ来れたし」

『こっちこそ、一緒に来てよかったよ。渡辺君は寝坊してたけど』

渡辺「そのことに関してはマジでごめん・・・」

よっぽど寝坊したことを後ろめたく思っているみたいで可愛い
ちょっと意地悪したかな

渡辺「まぁ、まさか先輩が男とは思ってなかったし？えらいイチャついてたけど」

『あの人は距離感がバグってる、っていうか・・・そういう人なんだよ(笑)』

渡辺「腹立つけど、おかげで進路が決まりそうだわ。」

一緒に受講した授業や、さっき佐久間先輩と話しているときに聞いた話で
渡辺君は進学をほぼ確信したみたい。
上手くいけば高校の個人推薦を勝ち取って、一月前には受験が終わるかもと
少し安堵した表情で話してくれる渡辺君
すごいなぁ。

『さすがだね、渡辺君頑張って』

渡辺「いや、ほんとAのおかげ。ありがと」

『私は何もしてないよ』

渡辺「Aは？この大学はどうなの？」

『いやぁ、初めての事だから、ここの学科でやりたいことがあるかもわかんないし・・・』

これは本当。
初めての事ばかりで本当にこの大学が私に向いているかもわからないし、
ただ家から近い、知り合いがいるからって決めるのも・・・・・

渡辺「そっか。まぁAなら大丈夫だよ」

そんな励ましを言ってくれる渡辺君は少し雑に私の頭をなでてくれる
少し心地いいな、安心してしまいそうだ

『ありがとう。私これから自転車で帰るから、これで』

渡辺「おう。またバイトで」