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気の緩んだ空気は一変、文次郎先輩が喝を入れたことにより緊張感のある空間に切り替わる。
皆、持ち場の席につき与えられた仕事に手をつけ出す。
…いや、私何したらいい?
『あの〜…、文次郎先輩?私は…』
「ここでは文次郎先輩ではなく、会計委員長と呼ぶんだ」
『あ、はい。すみません。潮江文次郎会計委員長。』
ここで気が緩んでるのは私だけのようだ。
慌てて訂正した。
「なんだ。A」
『私のお仕事は…』
「…そうだな。…お前、計算はできるか?」
まぁ、人並みには。とりあえず。
『はい。一応…得意ではありませんが』
「なんだ。その歯切れの悪い返事は。…まぁいい。では様子見ということでこのそろばんとこの帳簿の会計を頼む」
帳簿を受け取る。…うん、厚さ的には1年より多くて3年の神崎左門より少なめだな。
…で、このそろばんで計算するってこ…とぉ!!!?
『……』
「どうした。A」
こちらを見向きもせず、ぱちぱちとそろばんの珠を弾く文次郎先輩。
え、え、え?これ嫌がらせ?
何このそろばん…クソ重ぇ!!!
『も、文次郎先輩…?』
「…」
あ、そうだ。
『潮江文次郎会計委員長!』
「なんだ。A。席か?席なら佐吉の隣で…」
ちゃうわい!!ワザとか!!?ワザとなのか!!?
あ、でも席も聞きたかったからちょうど良かったわ!!って違うわ!!
なんだこのそろばん!!…素材は鋼鉄か!!!
『…このそろばん…重いっす』
「当たり前だろ?10キロそろばんだからな」
…なんて?10キロそろばん?10キロっていった?。なんでそんなものを私に…?え、もしかして違う?みんなこの10キロそろばん使ってるの?
『…』
チラッ…と当たりを見渡す。まさか…そんな…
……、みんな使ってんなぁ!!!10キロそろばん!!。
「潮江文次郎会計委員会委員長!茗荷先先輩はまだ不慣れなので一般のそろばんでもいいのでは無いでしょうか?」
任暁左吉〜…!!!お前優しいなぁ!!と、任暁左吉の方を見た。
『……』
いや、ちょっと待て。おかしいよな。
…1年生でさえこの10キロそろばんを使ってるっていうのに…5年生の私がたかが10キロのそろばんを使えないなんて…。
「…それもそうだな。たしか普通のそろばんは…」
『潮江文次郎会計委員長!!』
文次郎先輩を制す。
舐めてもらっちゃあ…困る。10キロそろばん?御茶の子さいさいよ!。なんなら指の筋力を鍛えるいい機会じゃないか!。
『楽勝ですよ。10キロなんて』
胸を張って意気揚々と言ってしまったが…普通のそろばんが良かった…。
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おじい(プロフ) - 本日より連載が開始します。のびのびとやっていくつもりです。更新が遅いですがよろしくお願いします (5月19日 10時) (レス) id: f500028919 (このIDを非表示/違反報告)
スイちゃんのご友人のご友人 - 文力が豊富ですね。読んでいてつまらないと思った作品が一つもありません!助平(スケベ)な展開を良いし、5年生の絡みが最高です!別連載の方もみてきます。おじい(作者)さんの更新を全裸待機で待っときます! (2023年1月30日 19時) (レス) @page8 id: 5ad601e96f (このIDを非表示/違反報告)
まーく - 読んでいてとても満たされて、この様な小説を書いているお方は皆言語力が素晴らしいと改めて感じました✨別連載も頑張って下さい、!!戻ってくるのを楽しみにしてます(*´∀`*)主様のペースでコレからも頑張って下さい!(上から目線っぽくてすいません💦) (2022年10月18日 22時) (レス) @page8 id: 18432ba634 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おじい | 作成日時:2022年9月26日 18時