君を振り向かせるのは５【HQ】

▽ ページ30

黒尾side



「赤葦？」



ただの勘だった


それが当たるとは思ってなくて俺自身驚いたけれど、やっぱり赤葦と親密なのかと実感した



夏休み最後の音駒合宿で、赤葦と一緒に現れたAのヘアゴムを赤葦が取ったことも


次の日髪には赤いヘアゴムしか付けていなかったことも


――俺はAさんが好きです


赤葦のあの発言が――


Aに触れるのをやめさせてしまった


心臓が、痛い


俺じゃあやっぱり駄目なのか



「すげー好きなんだけどな……」
『え？』
「いや、なんでもない」



二人が両想いなら引くべきなのかもしれない


けれど、すぐに諦められるほど簡単な気持ちじゃなくて


俺だってAが好きだし


そりゃあ赤葦の方が中学から好きなのかもしれないけど


時間じゃねぇし



「そういえばもうすぐ運動会だね」
『そうなんですね！』



ガシャガシャと籠の中で揺れるボトルの音を耳にしながら


いつもと同じように話し出す


大丈夫


ちゃんと平常心でいられてる



「今年は何の種目に出るかなぁ」
『音駒の運動会も出る種目選べるんですね！』
「そ。烏野の時何やったの？」
『私は借り物競争に出ました！』
「そうなんだ」



ねぇ、赤葦じゃなくて俺を好きになってよ


なんて言えたら、好きになってくれるだろうか

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