妹が好きで何が悪い２【プリレジェ】

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チャイムが鳴ると自分がどれだけ本に没頭していたのかと、現実に戻された


「時間は経つのが早いな」
『ほんとですね』


久遠さんと共に立ち上がって、本を片すと出た図書館


『あ…次移動だ』
「どこへ？」
『音楽室です』
「なら同じ方向か」
『ですね』


一緒になって歩き出して、彼とこうして歩くのはなんだか不思議な感じだ

初めは怖い人だと思ったのに


「なんだ？」
『久遠さんって意外といい人ですよね』
「意外、か？」
『あ、ふふ。すいません』


今だって、私に対してとても柔らかく笑ってくれる


『大切な本貸してくれるし、今日も一緒に読んでくださったし』
「それは――」
『今度また、こういうのしたいです。それでこの最終巻を読み終えたら感想とか言い合えたらいいなぁ』


共通の話題で盛り上がれるなんて絶対楽しい

今まで学校でそういう人がいなかったから、もし久遠さんがそうしてくれるのなら私にとっては相当嬉しいことだ


「まぁ、別に構わないが」
『本当ですか？』
「あぁ」
『ありがとうございます』


そう言って笑えばフッと笑われて


「あ、じゃあ私こっちなんで」
「あぁ」
『それじゃあ』
「あ、京極…いや、A」


その声に立ち止まって


『ふふ、なんか慣れないです。Aでいいですよ』
「…A」
『なんですか？』
「また今度、その小説が終わったら違う本を貸そう。その本が好きならきっと面白いと思うから」
『本当ですか？嬉しい！ありがとうございます！』
「あぁ、じゃあまた」
『はい』


小さく頭を下げて音楽室に向かって歩き出して

やっぱり久遠さんは意外といい人だと改めて思った

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