女王蜂

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「そう言えば、なんで1日だけ付き合ってって俺に言ったの？」

『それは大貴くんが私を…』

「そうじゃなくて！っていうかそれ、Aちゃんの嘘でしょ？」



バレてたんだ…
下っていく観覧車の中。
沈黙を守る私に、彼は吹き出した。





「Aちゃん、撫でたときビクってなってるの気づいてる？」

『…な、なってないですよ。』





なってるからってクスクス笑う彼。
本当に自覚していなかったから、顔が熱くなった。






「それに、酒入ってもさすがにそんなことして覚えてないはずないし。」

『…じゃあなんで提案に乗ったんですか。』



瞬間ガチャりと音がして、狭い箱の中に一気に冷たい空気が入ってきた。







「はーい。気をつけて降りてくださいね。」




従業員のおじさんに促されるまま観覧車から降りる。




結局問の答えを聞くことが出来ないままで、つっかかるような気持ちは消えない。



『大貴くん、手を繋いでもいいですか？』

「ん？いいよ。」


特段焦る様子もなく、冷静に手を差し出される。
私に対しての恋愛感情なんて微塵もないんだろうな。




『私、大貴くんが真奈を好きなの許せないんです。』

「うん」





見上げた彼の横顔から表情は読めなかった。

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