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衣更真緒の奮闘記 ページ4

Side.Mao


「それ重いだろ、持つよ」

『別に持てるし』

衣装などが入っている大きな段ボールを運んでいる彼女。俺の同級生兼プロデューサー。

俺の好きな奴でもある。

真とかスバルとかには懐いてる癖に俺が声を掛けるとさっきの通り。返事をしてくれるだけ良いのか?

「一人で抱え込みすぎ」

『あんたもでしょ』

「俺は好きでやってるから良いんだよ」

『じゃあ私も好きでやってる』

「そう来たか」

Aが荷物を持ってるのに俺は何も持っていないということにモヤモヤしながら歩く。

落ち着かないから強制的に荷物を奪う。

『ちょっと、持てるって』

「お前だけ持ってるのに俺が持ってないから落ち着かないんだよ」

『教室帰れば良いじゃん』

「モヤモヤしたまま帰るって、授業集中できねぇよ」

『……わかった』

不穏そうな顔をしたが、歩く速度が速くなっている。

「無理してたろ」
『してない』

無理してたろ、の「ろ」を言うと同時に返事をするA。そんなに無理してると思われるのが嫌なのか。

意地っ張りは入学当時から変わっていないなと思いつつ、もっと頼れば良いのにと不満に思う。

俺はだいぶ我が儘だ。

「お前、真とかには懐いてんのに、なんで俺には当たりキツいの」

『別にキツくない。それにあんた生徒会の仕事あんじゃん。私にまで頼られたら倒れるよ』

「じゃあ俺以外には頼れよ。懐いてはいるけど頼ってないだろ」

『はいはい分かったよ』

絶対分かってないと丸わかりの適当な返事をされる。

それより気になるのは、俺に懐かなくて俺に頼らない理由は、俺を心配してなのだろうか。





 





 





 





返事をしてくれるだけで良いか。

紅月・・・→←遊木真の奮闘記



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作者名:扇@crew | 作成日時:2019年3月25日 13時

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