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── 綺麗。
これが彼への第一印象だった。
ぱっちりと開いた目は煌めく都会の夜景のように、純粋過ぎず、けれどとても輝いている。
適度に遊ばせた髪には手入れが行き届いており、個性的な髪色も男性にしては可愛らしい顔にとてもよく似合っている。
「…はじめまして、まふまふです。」
少し緊張気味に発せられたその声は、やはり男性にしては少し高めだが、とても綺麗で上品だった。
なぜこの人は20歳まで婚約者が決まらなかったのだろう。正直意味がわからない。流石にまだ性格までは分からないけれど、見た目に限って言えば女性には困らなさそうなのに。
「えっと…趣味とかあるんですか?」
「へっ!?あ、趣味は…歌うこと、ですかね。」
「へぇ…お上手なんですか?」
「いや、別にそんな…ただ歌うのが好きってだけで、」
「そうなんですね。ご自分で作られたりもするんですか?」
「はい、あっ、でも簡単なものですけど…もし良かったら聴いてみますか?」
「ぜひ聴いてみたいです!」
まずはお互いのことを知ろうという目的で設けられた世間話タイムのはずが「これは面接か!」とつっこみたくなるほどに私からの一方的な質問タイムと化してしまったけれど、緊張からか固まっていた彼の顔が幾らか解れたのを見ると、話題選びは間違っていなかったらしい。
少しだけ笑みを浮かべたまふまふさんのスマートフォンから流れてきた曲はとても趣味の域ではないクオリティで、やっぱり地声が綺麗なら歌声も綺麗なんだなと普通に感心してしまう。
しばらく真剣に聴き惚れているとまふまふさんが曲の解説や作られた経緯などを話してくれて、あっという間に解散の時間となった。
「今日はありがとう、楽しかった!」
「僕の方こそいろいろ聴いてくれてありがとう!」
話しているうちにどうやら同い年らしいということに気付き、堅苦しい敬語を取り払うと距離も縮んだように感じた。
法律では、義務付けられた計五回の食事の後結婚するか破棄するかを判断することになっている。二人とも婚約破棄で意見が重なった場合に限り婚約は解消されるが、二人のうち一人でも結婚したいという意志を見せた場合は婚約が解消されることは無く、日を改めて婚姻届を提出する。
私達はどうなるのだろう。婚姻届を提出する未来はまだ見えなかった。
それは、まふまふさんがあまりにも綺麗だったからなのかもしれないし、それに比べて私があまりにも普通すぎるからなのかもしれない。
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関西風しらすぅ@坂田家 - 坂田さんの絵本描いてる設定とかリアリティありすぎて好きです。幼いセンラさん天使すぎな。 (2019年6月16日 11時) (レス) id: f34e486c2f (このIDを非表示/違反報告)
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