どうせなら、同棲でも。【Hokuto.y】

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この人信じられない。
人畜無害な笑顔でとんでもない爆弾を落としやがった…。

けど画面の先の藤原さんは1ミリも涼しい顔を崩すことなく、真っ直ぐにこちらを見ていてそれもそれで逆に気まずい。


" あー、ありがとうございます。…これ俺北人さんにキレられそう "
" やんなあ、ほくちゃん来るの遅いとええな！ "
" 翔吾〜！ちょっと聞いて欲しい！！ほんとに重大報告ある！！ "
" タイミング最悪っすね "
" やんなあ "


呑気に笑う翔吾と、面倒くさそうなのをまるで隠さない藤原さんと、まるで両極端だ。


そして勢い良く聞こえてくる声は、確かに聞き慣れたものだ。
面倒なことになる前に通話を終了したいけど、面白がってる翔吾は止めれない。


配信してんの？とひょっこり顔を覗かせたほくちゃんの顔面蒼白な顔は、暫く忘れられないと思う。

それから藤原さんと私とを見比べてから、藤原さんの顔を覆ってどうにか隠そうとする。
…なんかここまでくると、必死な様子が可愛いとさえ思う。


" マジで樹だけは見ちゃダメだって！ほんとやめてA忘れて記憶消してほんとに "
「いやそんなこと言われても…」
" Aさん、仲良くしてください "
" マジでやめろ！名前呼ぶなよ！そういう目で見んな！その顔やめろ！A面食いだからそういうの弱いから！！マジで！ "
「私そんな風に思われてたの…？まあ間違ってはないかもだけど、」
" やだAダメだって、捨てないで、樹なんて顔が良いだけだし、猫のことしか考えてないし、かまってちゃんだし、良いとこないから、絶対俺の方がいいからA、 "
" 北人さんよりはマシっすよ。俺、彼女は大切にするタイプなんで "
" 樹ーー！！！！！ "
" 仲良しやなあ、Aこういうの見るの新鮮やろ "
「うん、ほくちゃんの涙目とか初めて見た」


クールなタイプかと思っていたら意外とノリがいいというか、先輩を揶揄うのが楽しそうな藤原さんに、完全に翻弄されている。
絶対相手は本心じゃないだろうに、こんなに焦っちゃって可愛いなあ。
藤原さんが面白がるのも分かる気がする。

最後に翔吾からスマホを貸してもらったらしいほくちゃんは、その頃には本当に沈んじゃっててそれはもう愛くるしかった。



" 俺、かっこいいとこいっぱい見せるから樹のことすきになんないで、おねがいだから "
「うん、大丈夫だから。そんな顔しないでほくちゃん」
" A…！ "
「…まあ、藤原さんかっこよかったけど」
" Aー！！！！ "



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