どうせなら、同棲でも。【Hokuto.y】

逃亡劇はほどほどに ページ41

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ある日、珍しくほくちゃん宅のインターホンが鳴った。

私には心当たりが無いので、多分ほくちゃんの荷物でも届いたんだろう。
自分で言うのもなんだけど、普段はべそべそ言って側を離れるのに時間がかかるあのほくちゃんが、嬉々として玄関先へ向かったのには、確かに違和感があった。


まあこういうこともあるんだなあと思い、丁度良かったのでトイレへ向かう。
済ませてトイレから出ると、扉の目の前の至近距離にほくちゃんが居て、シンプルに心臓が止まるかと思った。


「っくりしたあ！」
「A、ちょっときて」
「な、なに…？」


心臓がまだバクバクいっていて、地味に警戒してしまうが、本人は全くこちらの動揺も気に留めない。
本日もマイペースな家主様に手を引かれ、リビングに戻ると、そこには先程届いたのであろう段ボールが一つ鎮座していた。


「なんか買ったの？」
「うん、Aに」
「えっ私？」
「いーから開けてみて」


有無を言わさぬほくちゃんに、訳がわからないままとりあえず段ボールに手をかける。

このにやにやしている感じが非常に怪しい。

ろくでも無いものでも入ってるんだろうなあと思いつつも、ここで従わない方がろくでも無いことになるので大人しく開けていく。


中にはブランドの名前が入った水色の箱が入っている。
そこまで無知では無い私は、その時点で悟ってしまった。
この店で何かを買うってなったら大体の予想はつく。
中を開けてみると、やっぱり想像と違わないものが入っていた。


「うん、パジャマだね」
「そー！絶対Aが着たら可愛いから、翔吾に相談して買った」
「私、こんな可愛らしいの似合う自信ないんだけど…」
「なんで！？絶対可愛いじゃん！似合わないわけないでしょ！」


中には、有名なパジャマブランドの上下セットのパジャマが入っていた。
袋から出さずとも分かる、絶対にふわふわで手触りが良さそうな生地のピンクと白のボーダーのデザイン。


ゴリ押しのほくちゃんに言われて想像してみるけど、パジャマの方が可愛いすぎて私置いていかれそう。
ついでに、上は長袖だけど下がかなり短いのも恥ずかしい。

その下には、同じく上下セットの黒と白のボーダーのお揃いっぽいパジャマも入っている。
ついでだから俺も買った、とほくちゃんの言う通りメンズものだった。


…すごいな芸能人、そんなに安くはないだろうに。



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