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掌の魔法 ページ5

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「着いたよ」


柔らかいその声と、頭を撫でられた感触でぼんやりと意識が浮上した。

うわ、やば、寝てた…

あれだけの態度を取っておいて、私っていう人間は相当お気楽に出来ているらしい。
いや、寝たくて寝たわけじゃないんだけども。
ほくちゃんはタクシーを降りる前に、至って真剣な瞳で辺りを窺ってから、自分はフードを被って手に持っていたキャップは私が深く被らされた。


ハッと意識が覚醒した。


それは、ふわふわと低迷していた所に冷や水をぶっかけられたような感覚だった。

そうだ、ほくちゃんは芸能人で私は一般人で、それから女だ。
遅い時間とは言え、彼の周りにどんなスキャンダルが待ち受けているか分からない。
そんなリスクも考えずに、私はただのこのこと着いてきてしまった。
ほくちゃん一人にそれを背負わせていたのがすごく申し訳なくて顔をあげられない。

行くよ、と酷く大人びた声でそう言われて、繋がれていた手がぎゅっと強く握られる。
ついでにキャリーケースも持って貰ってしまって、半ば早足ですぐそこのほくちゃんの家まで歩き出した。
人の気配は感じられない。
でも見慣れたほくちゃんの家に入るまでの時間が、無限のように感じられた。
漸く着いた玄関先で大きく息を吸う、知らず知らずのうちに息、止めてたや。

なのにほくちゃんときたら、気付けばこっちをじっと見てて、まるで悪戯が成功した子どものような顔でご機嫌そうなんだから、びっくりだ。


「緊張した?」
「…したよ」
「はじめてじゃないじゃん」
「いや、そうだけどさあ」
「A、酔ってる時しか来たことないもんね」
「…うわ、たしかに」


素面でこの家に足を踏み入れるのって、今日が初めてかもしれない。

よくよく見るとかなり綺麗なお家だ。
元々も綺麗なんだろうけど、男の人にしては綺麗にしようと努力してるのが感じられる。
言ったら怒られそうだけど、普段のほくちゃんの姿からはあんまり想像できなかった。

ぼーっと眺めてると、早く上がんなよとぽんと頭を軽く叩かれた。
今日はよく頭を触られる日だな、あ、ていうかキャップ。


これありがとう、と返すとえー取っちゃうの?彼女感あって可愛かったのに、とお得意のにやけ顔でそう言われて言葉に詰まる。


……平常心、平常心。


何を言われても動じないぞ。
成り行きとは言え一応の覚悟は持ってここに来たんだから。

こんな風に出鼻を挫かれて相手のペースに巻き込まれてはいけないのだ。



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設定タグ:THERAMPAGE , 吉野北人   
作品ジャンル:恋愛
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も。(プロフ) - usaさん» コメントありがとうございます!この一番もどかしい時間を楽しみながらのんびり進めていけたらと思います。更新ペースも早い方ではないですがまた覗いて頂けたらと思います(T_T)ありがとうございました! (2020年7月21日 13時) (レス) id: db66c21382 (このIDを非表示/違反報告)
usa(プロフ) - 今回の更新もとっても面白かったです。早くほくちゃんとくっついて欲しいような、付かず離れずのもどかしい距離が楽しいような…!今後の展開も楽しみにしていますのでご自身のペースで無理せず更新がんばってくださいね。引き続き楽しみにしております! (2020年7月20日 22時) (レス) id: c80ccd6f24 (このIDを非表示/違反報告)
も。(プロフ) - 飴さん» ご意見ありがとうございます^ ^長文かつストーリーが遅いことは明記させて頂いており、また趣味かつ自己満足の作品ですので読んで頂くことを強制しておりません。合わないと思いましたら読むことを辞めて頂いて構いませんよ。お時間を割いて頂きありがとうございます。 (2020年7月18日 15時) (レス) id: db66c21382 (このIDを非表示/違反報告)
- 何度も続けてのコメントですみません。 長々と失礼なコメントで失礼致しました。 それでは...。 (2020年7月17日 19時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
- またまた続けてのコメントですみません...。 そして台詞の行間隔あけたほうが良いと思い ました。 行間隔が詰まっていると読みにくいので...。 (2020年7月17日 19時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:も。 | 作成日時:2020年4月25日 23時

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