どうせなら、同棲でも。【Hokuto.y】

鳥籠の中の幸せ ページ27

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思っていたよりも早く仕事を切り上げられて、気持ち足早で家まで向かう。

正直今日は、Aからのおかえりだけを待ち望んで仕事をこなした1日だった。
一瞬も離れずに過ごしてきたここ最近に慣れてきちゃってたから、1日離れただけで既に恋しい。
勿論久しぶりの仕事も楽しくないと言ったら嘘になるけど、家で帰りを待ってるAがいてこそ頑張れたと思う。
それくらい今の俺にとってAは原動力で、自分が成り立つ為に大きい存在になってる、と思う。


ただいまーと口にしつつ、Aの姿を探す。
玄関まで出迎えに来てくれるかと思ったけど、あれ、お風呂かな。
それにしては水音が聞こえないのを不思議に思いながら、一先ずリビングに向かうと探していた後ろ姿を見つけた。
けど、多分思っていたそれと違かったのもあって気分が急降下していくのが分かる。

背中を向けて、目の前には仕事でしか使わないはずのパソコン。
その画面に映る見知った顔に、掲げたグラス。
それから聞き慣れない関西弁。
……ズルイ、Aの関西弁なんて超レアなのに。


「…はいぼっしゅー」
「わ！ほくちゃん！びっくりしたー」
「人が仕事してんのに飲んでるとかどーゆーつもり？」


Aが口へ運ぼうとしてた空に近いグラスを横から取り上げて、飲み干す。
ごくりと喉を鳴らし終えてから、違和感。
あれ、何コレ……


「酒じゃない、」
「流石に勝手に人の冷蔵庫から数少ないお酒貰うのもどうかと思って…」
" ほくちゃんお疲れ〜！ "
「翔吾…」
" せっかくやし一緒にどう？ "


不貞腐れた声色しか出せない俺に、余裕な翔吾は大人な対応だ。
別に、2人の仲が良いのは知ってるし、俺がAに会えたのも翔吾がいたからだ。
翔吾にその気はないって言ってたけど、いつそうじゃなくなるか分からない。
Aは可愛いし誰にでも優しい、翔吾はかっこいいし2人は昔からの仲で、もし翔吾に本気を出されたら、俺の勝ち目なんてないかもしれない。

気付けば足は冷蔵庫に向かっていて、Aが残り僅かだと言っていた缶チューハイを手に取る。
当たり前じゃん、1人で滅多に飲まないし、Aが来てからは、Aがいるのに飲んで酔っちゃう方が勿体ないって思ってたんだから。


「ほくちゃん大丈夫？」
「明日仕事ないし」
" じゃ、改めて乾杯やな！ "



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