おい、時間だ。 ページ21
「それどういうこと?」
私は持っていたペンを止めて彼に視線を集中させた。
彼は、それに少し目を見開くが、ゆっくり言葉をつむぎ出した。
グ「絵とは描いてる人物によって終わりがある。大袈裟に言えばただ紙に一つの線を描いて、『これがこの絵の完成だ!』と本人が言うのならそれでその絵は完成であるということだ。なら、絵を完成まで描くまでいつが完成なんて俺には分からんだろう?違うか?」
「なる、ほど。」
驚いた。
彼はやはり平凡とは違うのだろう。
というか、そういうことにしたい。
彼の不思議なカリスマ性をどうも表現出来ないから私はそういうことにしたかった。
グ「考えている時、お前はまるでビスクドールのようにだな。」
「な、君ね!それは失礼じゃない!?同学年の女子にビスクドールみたいって!?」
そういうと彼はキョトンとして、なぜだ?と言った。
グ「ビスクドールはとても綺麗で俺は好きだぞ?」
「そうだけど!…もしかして、それ、褒め言葉?」
驚きに驚きをかけながら聞いた。
グ「当たり前だ。」
まじか。
あ、なんか、疲れた。
絵、描こう。
私は一息吐いてまたペンを動かし始めた。
ただただサラサラと音を立てるペンだけが私を集中の海に潜らせる。
深くて深くて、
音はなくて、
汚い人間もなんにもない。
ただの静寂。
__
_____
グ「A。」
深海に響く。
現実の深海からの声。
それは、本当に何度その声で呼ばれても驚きは残っている。
なんでこの人の声ってこんなに力があるのかな。
あ、深海みたいに低い声だからあそこまで集中してても分かるのか。
そう理解してからゆっくり彼を見る。
グ「時間だ。日が暮れてきた。」
「あ、本当だ。いつもならここまで集中しないのに。」
なんで?疑問を持ちながらその場の道具をせっせと片付ける。
彼は自分の鞄を持って「先に下駄箱で待ってるゾ」と教室で別れ、私は美術室へ足を早めた。
「戻りました。」
すると、静物画を描いていた部長がこちらを見てホッとしたように微笑んだ。
部長「よかった、海堂さんか。ほかの人だったらどうしようかと思った。」
「今回はみんな外で描いてますしね。ところで部長、ほかの部員聞いたら私が先輩方に嫌悪されるのでやめて下さい。じゃ、お先失礼しますね。」
自分の荷物を持って先輩の絵を除く。
まだ、下絵。でも、綺麗だ。
なんか、もう一線一線空気感がある。
部長の絵を楽しみにしながらグルッペンの元に急いだ。
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D(プロフ) - ルキさん» はい!実は個人的にどっちにしようか悩んでなんか他の方々と同じ書き方するのつまらんと思ったしだいです!ご質問ありがとうございます!よりよい話になるよう精進致します! (2019年6月20日 16時) (レス) id: 5255f6ffa2 (このIDを非表示/違反報告)
ルキ - めちゃおもろいです!欝じゃなくて鬱ですよ…!わざとそうしてるのならすいません…! (2019年6月16日 2時) (レス) id: f38841be90 (このIDを非表示/違反報告)
晃夜(プロフ) - ハルさん» 読んでくれてありがとうございます。更新遅くてすいません。早めに投稿できるよう善処します。好きです。笑 (2018年3月6日 14時) (レス) id: 153c465e30 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 好きです 頑張ってください! (2018年3月6日 6時) (レス) id: 9915f5d63f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ねこ x他2人 | 作成日時:2017年4月15日 16時