時透無一郎の許嫁 弐

５９　理不尽 ページ36

A『んっ。』

無「あ、起きた。
体起こしたら駄目だって！」


A『無一郎？あれ？ここ、保健室？」

無「そうだよ。
大会前だからって無理しちゃ駄目だよ！」


A『ごめんなさい、、、、。』





気まずい沈黙。

それを破るかのようになるチャイム。



休み時間のようで、外が一気に騒がしくなる。





有「失礼します。
無一郎、Aの様子h、、、
A起きたんだったら、呼べよ！」


A『有一郎。ありがとう。
私の為に、、あんなにムキになって起こってくれて。


ねえ、友達って何なの？家族って、、、何？
教えてよ、、、、。
私、もうわからなくなっちゃったよ、、、、。』






さすがに兄さんも絶句している。




ねえ。

分かるよ、Aの気持ち。




人は、優しい。
けど、時々、、、、残酷だ。





傷つけて、それを嘲笑して、、、、、









無「分かるよ。
Aの気持ち、、、分かる。」


有「無一郎？！」






兄さんには言ってない、、、。多分、当事者しか
知らない事実。


無「何が顔だけなんだ！
双子で珍しいから？！俺は別に良いけど、
兄さんまで侮辱すんなよ！

ここまで来れたのは、努力したからだ！



将棋が好きでやってきて、何が悪いんだよ！






有名になるにつれて
友達が段々離れていく。


もう、、、それを見るのは、嫌だ、、、、、。」









蓋をしていた感情が、溢れ出す。

悲しみと、怒り。



対極に思えるような、その感情。





混じったら、同時に起こったら、
どうなるのか。









“虚しさ”









なのかもしれない。

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