【どろろ】私は貴方の目になる。 (ページ8)

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7話ページ8

sideA

あの子が歌っていた曲を弦で弾く。

A『なんだっけね。』

あーかいはーなつーんで♪

あーのひとーにあーげーよ♪

ミオ｢凄い！もう弾けるの！？｣

A『ふふ、良い歌だからね。』

ミオ｢聴いたばかりなのに…｣

A『良ければ歌ってくれ。私が弾くから。』

ミオ｢うん！｣

ミオ｢あーかいはーなつーんで♪あーのひとーにあーげーよ♪｣

良い歌だねぇ。

｢ミオ姉、嬉しそう。｣

｢楽しそう。｣

どろろ｢あにきは寝てなきゃダメだ！｣

おや？

A『この歌が好きかい？』

ミオ｢そうなの？嬉しいわ。｣

百鬼丸｢ーー｣

百はミオの口に触る。

A『百がこんな反応するのは初めて見た。』

…不穏な空気が向こうから伝わる。

どろろ｢あねき！どこ行くんだよ！｣

A『厄介になる分、働いて返すんだよ。』

ミオ｢良いよ！ゆっくりしてて！｣

A『アンタは弟と妹達を守らなきゃいけないだろう？』

ミオ｢あなただって弟が｣

A『私は身体は頑丈なのさ。それにアンタの声なら安静にしてくれるだろうよ。』

百が手を引っ張る。

A『安静にしなさい。』

床に戻す。

百は口を動かして何か伝えようとする。

A『帰ってくるよ。大丈夫だよ。』

そう言って頭を撫でる。

A『良い子で待ってるんだよ。』

戦がもう始まるせいか稼げなかった。

空気でわかる。

あの場所が燃えてる……

あの子もあの子も…

私は物の怪の類としても、あの子らは人だろうよ。

土を掘る。

あんな良い子が…

どろろ｢あねき！あにきを止めてくれ!!｣

A『百、その人、殺すなら私から殺しなさい。』

百を正面から抱く。

どろろ｢あねき！？｣

百鬼丸｢う"ぅ！｣

A『百…』

苦しげな声だ。

右腕を持って、私の首に近づける。

A『これが私の首だよ。』

百｢う"…うぅ…｣

抵抗してる…

武士は逃げていった。

A『良い子だね。』

どろろ｢あねき！血が！｣

A『そんな事より埋葬してあげよ。極楽浄土に行けるように。』

埋めた墓の前で弦を弾く。

A『あーかいはーなつーんで♪ あーのひとーにあーげーよ♪ 』

あの歌声には適わないね。

そうだ。

どろろ｢あねき？｣

A『安らかに眠れるように。』

赤い花と白い花を墓の前に供える。

指が痛くなるまで弾き続けた。

どろろ｢あねき…無茶はしないで…｣

A『どろろは優しいね。』

今はただ、沢山泣いてやれ。