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この空間には熱い息と抱き合う男女しかない
誰も訪ねてくるはずのない時間に溺れそうだった
「 この傷も、その顔も、かわいいなぁ…全部俺がやったんやもん 」
ドサっとベッドに押し付けられて、手を絡める
力が抜けた状態では蟻を踏み潰すより簡単だ
「 なぁ、もっと俺を求めて、? 」
『 っ、んっ…さ、かたさ、ん、 』
彼の目がほんの一瞬、ギラついた
その時、視界がぐわんとふらつき、直ぐに収まった
その刹那、
繋がれている手に、見つめられる顔に、身体中に熱が集る
「 力加減慣れんなぁ…まぁこれぐらいでええわ 」
『 はぁっ、…ぁ、あつ、 』
「 まだちょーっとしか入ってないのに…やっばぁ 」
耳元に、口を寄せて彼はそう囁く
わざとなのか、声がやけに色っぽく、更に身を火照らす
片手でぎゅうぎゅうと握りながら、髪を耳にかける
その痛さが何故か心地よくて、
馬乗りされて、嫌なはずなのに、
今直ぐにでも、帰りたいはずなのに
「 っはぁー♡ 痛いはずなのに気持ちいいん? 」
彼が微笑む度に、
痛みつけられる度に、わたしの何処かが満たされて
「 相性バツグンやなぁ…マゾちゃん?♡ 」
するりと撫でた太ももに、一度口を付けて
やわやわと甘噛すると
「 いただきまぁす 」
ぺろっと舌で口周りを舐めて
一気に歯を立てて、獣のように噛み付いた
『 っなぁ、んで、はぁ…はぁ… 』
「 あま、初めてや…、…ほら、名前呼んで 」
唐突に襲ってくる空腹感と眠気
男の口元にベタつく赤は彼の瞳と同じ色だ
『 さかた、さ、…はぁ…っぁ、んっ… 』
「 んっ、…ちゅー…、んーっま 」
可愛らしくリップ音を立てて唇が離れる
彼も興奮状態なのか、頬を赤らめてじーっと見つめられる
「 なぁ次は?次は何をされたいん?もっとちゅーする? 」
体を起こしたところで、頬に手を添えられる
先程見た牙はいつの間にか収められていた
「 それとも、…もっとアブナイコトしたい?♡ 」
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作者名:蓮。 | 作成日時:2021年10月19日 15時