DOPE 麻薬取締部特捜課 3 (ページ6)

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『こんにちはー』

その日も勤務の後、いつも通り拘置所に足を運んでいた。
陣内さんが捕まってからというもの、ほぼ毎日のように面会に足を運んでいるので施設の人とも顔見知りになってしまった。
陣内さんは一度も会ってくれていないけど。

「Aさん、」

いつも面会の受付を担当してくれている人が、私を見て深刻そうな顔になる。
それに、拘置所内がどことなく慌ただしそうだ。
少しして、面会室ではない小部屋に通された。
何やら只事ではない雰囲気の中、1人の刑務官が入ってくる。

「突然お呼び立てしてすみません」
『いえ。陣内に何かあったんですか？』
「落ち着いて聞いてください。…陣内鉄平が、脱走しました」
『…え？』

一瞬、耳を疑った。
ジウに操られて戸倉さんを撃ち、自分の運命を受け入れるかのように連行されていった陣内さん。
ジウの話ぶりからして恐らく彼とも知り合いなのだろうし、もしかするとジウに操られていたことも気がついていたのかもしれない。
面会こそしてはくれないものの、差し入れは受け取ってくれているみたいだったし、とても脱走なんて企てている様子はなかったのに。

「何か知りませんか？よく行っていた場所など、些細なことで構わないので教えてください」

陣内さんがいなくなったのは、ついさっきのことだと言う。
たまたまその時間外に出ていた職員が帰ってくると、警備員を始めとする施設内の人が倒れていて防犯カメラも止められていたそうだ。
本郷さんが拉致されたときも、こんなふうに陣内さんを探したことを思い出す。
あのときは陣内さんの意思でいなくなったけど、今回もそうなのだろうか。
どうにもジウが関係しているような気がして胸が騒つく。
私たちも陣内さんを探す旨を伝えて、すぐに課長に電話をかけた。