DOPE 麻薬取締部特捜課 3 (ページ15)

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「お嬢さん、落としましたよ」
『すみません、ありがとうございます』

考えることが多すぎて、ぼーっと歩いていたら携帯を落としてしまったらしい。
もう30なのにお嬢さんとか言ってくるから新手のナンパかと思ったけど、本当に私の携帯だったから多分違う。
なんか白衣着てるし。

『あの、まだ何か？』

携帯を落としても気づかないなんてよっぽど疲れてたんだなとその場で動作確認をしていると、なぜかまだ目の前から動こうとしない男性。

「ああ、いえ。知り合いによく似ていたものですから」
『はあ…』

改めて男性の顔を見ても、記憶にない顔だ。
拾ってもらっておいて失礼ながら、こんなにも貼り付けたような笑顔の人は私の知り合いにはいない。

『では、これで。拾ってくださってありがとうございました』

携帯の方は特に壊れていそうでもなかったので、男性に背を向けた。

「…覚醒した能力が分かったと聞いたが、記憶はそのままのようですね」
『…？』

後ろで男性が何か呟いたように思って振り向いたものの、男性は笑顔を崩さないままこちらを見ているだけだった。