DOPE 麻薬取締部特捜課 3 (ページ14)

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泉さんは人の心が読めるようになったみたいだった。
特捜課に入ったときは、ずば抜けた脚力が彼女の異能力だったのに。

「…今のあんたは本当のあんた？」

泉さんが飾ってあった写真を手に取った。
泉さんも一緒に写っているものだ。

「ここじゃ私は死んだも同然だった」
『っ！』

泉さんは写真から手を放した。
写真が地面に落ちて、ガラスが飛び散る。

「あ、そうだ才木君。ジウからの伝言。妹さんが…大変なことになってるって」
「…結衣」
「バ・イ・オ・エ・イ・ル」
『っ！！』
「Aさん？」
「あら！Aさんごめんなさい！」

耳慣れない言葉のはずなのに、激しい頭痛に襲われた。
思わずしゃがみ込んでしまうと、柴ちゃんが支えてくれた。
泉さんが笑う。
彼女は何か知っているのだろうか。

「…」
「急いで行ったら？」
「…くっそ、」

心当たりがあるのか、才木君は事務所を飛び出して行った。

「あはは！！楽しくなって来ましたね！」
「いい加減にしろよお前！…消えた、」

柴ちゃんが泉さんを掴もうとすると、泉さんは事務所から姿を消してしまった。

「A、大丈夫か」
『…すみません』

柴ちゃんに助けてもらいながら椅子に座る。
頭痛はある程度治まっていた。

『何だったの…』

バイオエイル。
それが何かは全く分からないけど、確かにあの単語を聞いた途端に頭痛がした。
才木君もその正体を知っているみたいだったし、明日にでも聞いてみようか。
泉さんの登場によって、特捜課の空気は鬱々としたものになってしまった。
換気したばっかりだったんだけどなぁ。