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42 My regret. ページ42

私は、リュウ様が雇われている館を訪ねた。
従者と見られる女性に待つように言われ、
玄関で待つ。
少しこそばゆい。
人の家に行くのは、慣れていないのだ。

「どうぞ。」
暫く待っていると、先程の女性がやってきた。
やれ、やっとか。
リュウ様のお相手とは、
是非お顔を拝見したいものだ。
若様よりもいい男とは思えないが。

客間に通されたが、そこには誰もいない。
どうやら、また少し待つことになりそうだ。
誰もいないのに姿勢を正し、
腿の上に拳を置く。
それだけで、随分落ち着いた。
しかし暇だ。
周りを見渡すと、掃除の行き届いた柱時計と、
その横にかかった写真が目に入った。
恐らく故人なのだろう。
人間は不思議だ。
故人の写真を白黒にして、
その人の顔を思い出せなくしてしまう。
それが防衛本能だと言われればそれまでだが。
私の中のルナード様には色がある。
あの写真の中の老翁は、
色を思い出してもらえるのだろうか。

トントン。
ノックの音がした。
「どうぞ。」
客がどうぞと言うのは変な気がしたが、
さすがに答えない方が無礼だろう。
声に応えるように、男と、それに連れ立って
リュウ様が入ってきた。
なるほどな。と、思った。
確かに、この男は若様に似ている。
癖のある毛質、高い背。
そして、何よりも歩き方がそっくりだ。

「ルッペルさん!」
リュウ様が不意に抱きついてきた。
月に一度リュウ様に会った時は、
いつもこうして抱きついてきたのだ。
今までは会う度に体が軽くなっているのを
心配したものだが、
今は良く食べさせてもらっているらしい。

「リュウ様、主の前でございますよ。」
そんなリュウ様の姿は非常に愛らしいが、
これでは話が進まない。
1度リュウ様は頬を膨らませたものの、
大人しくソファに座ってくれた。
頭を撫でたくなったが、我慢した。

軽く自己紹介をし、
谷の話をしようとした。
しかし、若様が死を選ぶことを、
リュウ様はよく思わないだろう。
席を外してもらうべきだ。

私はリュウ様に席を外してもらうように頼み、
男と2人になった。
男は何の話が始まるのか、と、
私を必死に睨んでいる。
出会った頃の若様にそっくりだ。
彼を若様の後に据えることは、
きっと、私の未練なのだろう。

43 It is thing that want he.→←41 Your happiness is my happiness.


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設定タグ:シリアス , ペケーニョ・デレーチョシリーズ , アップルパイ   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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作者名:クインテット | 作成日時:2016年7月7日 22時

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