Fall. (ページ4)

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4　No load is with good company. ページ4

「名前は？」
自室にて。
少女に聞いてみるが、沈黙が流れる。
困ったものだ。
「字、分かる？」
何の反応もない。
ここまで着いてきたということは、
言われたことは理解できるということだ。
「名前、つけるか。
そうだな。よし。
お前はルナードだ。」
適当に思いついたわりには、悪くない。

「おい、ルナード、ここから動くなよ。
親父に説明しなきゃ……。」
溜め息をついて、とぼとぼ向かう。
「おい……親父。」
「どうした？」
何度繰り返しても、
きっと同じことしか言わない。
それでも、俺はルナードといたかった。
「人間の子供ね、
兄貴みたいになってからにしなよ……。」
ほら、予想通りだ。だけどさ。
「それなら親父、今すぐ俺を鍛えてくれ」
間髪入れずに、俺は頼み込んだ。

「どうしてまたお前は……。」
そこで親父は言葉を切り、溜め息をついた。
「まぁきっと、彼女を守れれば一人前だよ。」
したり顔の親父は、どうにも皺が多い。
「何言ってんだよ……。
言われなくてもそうするよ。」
小さな嫌悪感を覚えた。
たまには、信じてくれよ。

「ああ、そうだ。修行の一環として、
ちょっと悪戯しておいたぞ。」
したり顔の訳がわかった。
魔物の悪戯は、人間には致命傷に成りうる。
「おい……。」
急いで自室に向かうと、
何処かの妖精がルナードを拐おうとしていた。
「そいつに触るな。」
静止も聞かない妖精に、俺は声を荒げた。
「やめろ。」
妖精は、怯えたように立ち去った。
舌打ちを打つと、ルナードを連れて、
俺は親父の元へと戻った。

「おお！守り切ったか！
さすが我が息子！」
やっぱり親父は、成功すれば褒めてくれる。
それなのに。どうして。

「で、俺は何すればいいの。」
「おう、10年間、彼女を守り切る。
それが修行だ。」
どうして、俺のこと放っとくんだよ。
兄貴にばっか期待して、
結局見放されたクセに。

「ま、一応、こいつを渡すから安心せい！」

そう言って親父に渡されたのは、
ピアスだった。

「趣味じゃないな……。ま、貰っとく。」
「おい、趣味とかじゃなくて！それは、お前のひいひい……。」
「そんなやついないだろ、
俺が3代目なんだから。」
｢ばれたか。｣
ぷちっという音と、
俺の舌打ちが同時に鳴った。
「片耳だけでいいや。両耳とか趣味悪すぎる」

もう片方を引き出しの中に入れ、
町へ向かった。

｢俺は、本当にお前を愛せるのかな……。｣
ルナードと繋いだ左手を、少し固くした。