ただのお手伝いですので【時透無一郎】

出発 ページ7

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「あの…しのぶ様。お話があります」

「はい、なんでしょう」

「えっと…私、霞柱様の御屋敷に行くことにしました。来週、出発します。今まで、ありがとうございました」

「……ああ、そのことですか。もちろん、止めはしませんけど。でも、寂しくなりますね…もう、Aさんが来てから一年ですか。あなたと過ごした一年間…とても、楽しかったですよ」

「…本当に、ありがとうございました。お世話になりました」

「たまには、蝶屋敷にも遊びに来てくださいね」

「！…はい、もちろん」


しのぶ様には快く承諾頂けた…よ、よかった。
まあ、ちょっと働きに出るだけなので、そこまで大袈裟に話さなくてもいいんだけど…でも、やっぱりお礼は言っておきたい。

そしてアオイちゃんやカナヲちゃん…蝶屋敷のみんなに挨拶をし終わった頃、もう日は落ちて暗くなっていた。

風呂に入って、自室に戻る…日中は賑やかな蝶屋敷が静かになる、夜。
一人でつい考える。

本当に霞柱様の屋敷に行くと決めてしまって良かったのかな。あまりお話したこともないし、私も霞柱様のことなんて何も分からないのに。
でも、何だか後悔はしていない。霞柱様は……あまりこういうことを言ってはいけないのかもしれないけど、私の作ったふろふき大根を食べている間は、とてもかわいい弟に見えた。それと同時に、『こんなに幼い子供も、命懸けで鬼と戦っているんだ。』と尊敬した。……やっぱり、鬼殺の剣士ってすごい。何の才能もなかった私は、誰も守れないけれど。
私が、少しでも霞柱様の力になれたらって思った。なんて、ちょっと図々しいかな。








忙しく準備などをしている間に、もう一週間が過ぎた！

出発の朝。

「忘れ物はないですか？お弁当は持ちました？迷子にならないようにしてくださいね。何かあったら、私を呼ぶんですよ」

「もう、そんなに言わなくても…大丈夫ですよ、しのぶ様」

「…心配なんですよ。あと、いくら時透さんだからって、油断しないでくださいね。時透さんも、男の子なんですから」

「ふふ、分かりました。……では、もう行きますね」

「……お気をつけて。いつでも、帰ってきていいんですよ」

「ありがとうございます。…行ってきます」







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ここで大正コソコソ噂話。

Aさんは、相手が年下だったとしても、敬語じゃないとなんだか落ち着かないそうですよ。



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