ただのお手伝いですので【時透無一郎】

寂しくなるね ページ23

*




夜が明けた。


「ーーでは、もうそろそろ……」

「あっ、そうですか…！分かりました、今までお世話になりました」

「こちらこそ。Aさんが居なくなると思うと、少し寂しく思いますが…それと同じくらい、時透さんもAさんが早く帰ってくることを望んでいると思いますよ」

「そ、そうですかね…？ありがとうございます」

「はい。では、明後日出発ということにしましょうか。時透さんには、私から烏を飛ばしておきますね」

「何から何まで、本当にありがとうございます…」

「いえいえ。では、もう行っていいですよ」




これから竈門くんたちが頑張る時期だというのに、もう行かないといけないなんて……
寂しいけれど、そうするしかないからね。それに、時透くんだって心配だし。

ああ、それなら、挨拶もしておいた方がいいかな……今は、皆どこにいるんだろう。
機能回復訓練をしているなら、鍛錬場にいるかな？




ーー私の読みは当たったようで。


アオイちゃん、カナヲちゃん、竈門くん…嘴平くん、我妻くんは訓練を行なっていた。

早い。一般人の私には、中々目で追えない……やっぱり、鬼殺の隊士というのはすごいんだなあ。




ほうっと見ていると、アオイちゃんに声を掛けられた。



「Aさん、何か用でしょうか？」

「あっ、ごめんなさい…！邪魔しましたよね」

「いえ、大丈夫ですよ。そろそろ休憩にしようと思っていたので」




わあわあとうるさい我妻くんはとりあえず無視して、話を始めた。




「いいんですか？
……えっとですね、私、明後日にはここから帰ることになりまして…その報告を」

「ええぇぇええぇ！！？Aちゃん、帰っちゃうの！？」

「A、本当にもう行ってしまうのか…！？」

「子分のくせに親分より先に出て行くつもりか！」

「子分になったつもりは……その、もう蝶屋敷も落ち着いてきましたし…私はただのお手伝いでしたので。それに、残してきた屋敷もありますし…もうそろそろかなあ、という感じではあったんですが」

「そうですか……寂しくなりますね」

「A、帰っちゃうの」



かわいい女の子達を悲しい顔にさせてしまうと、なんかすごい悪いことしてる気分になる……



「ごめんなさい。でも、また手紙は書きますから。それに、まだあと二日はありますしね」

「Aちゃん、帰っちゃう前に結婚して！！！」




「……お断りしますね」

「なんでえええ！！！！」



*

帰る場所→←耳が良いので

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す