ただのお手伝いですので【時透無一郎】

あれから ページ16

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一緒に街に行った日から、もう一ヶ月が過ぎた。

この一ヶ月の間、特に大きな事件なんかは起きなくて…私はなんとなく仕事をこなせるくらいにはなってきた。時透くんは任務でいないことも多いけど、小町さんや、たくさんの方と過ごす日々はとても楽しい。本当に、平和な毎日ーー


「ただいま、A…！！寂しかった、会いたかった…」


……ごめんなさい、私、嘘をつきました。この一月で一番変わったことは…時透くんが、すごい甘えたさんになったこと。あんなに覚えてくれなかった名前も、今ではすっかり覚えてくれた。

「……おかえりなさい、時透くん」

「Aにね、お土産買ってきたんだ。
じゃーん。このお店の饅頭、好きだったよね？」

「！い、いいんですか？ありがとうございます…！」

「うん、笑ってるAはかわいいね。あーあ、僕もう任務行きたくない…」

「何言ってるんですか。時透くんのおかげで救われている命もあるんですよ」

「むー…そうかもしれないけど……」

「って、時透くん、もうすぐ柱合会議じゃなかったですか？」

「えー、そうだったっけ…忘れた」

「そういう大事なことは忘れないでください！」


正直、扱いに困っている。すぐに、か、かわ……かわいい、とか言うし、油断したら私の布団に入って寝ていることもあるし。小町さんに相談したら、にっこり微笑まれた。逆に怖い。


そして、時透くんは柱合会議に出席するため、お館様の屋敷へ出発する日がやってきた。



「いってらっしゃい、ちゃんと帰ってきてくださいね」

「うん、すぐに帰ってくるよ、誰よりも早く」



時透くんが出ていって大体一日後くらいだろうか。

しのぶ様の鎹烏が、私宛に文を持ってきた。

私がこちらの屋敷に来てから初めてだなあ、珍しい。何か緊急事態かしら……





『前略


急な文に、Aの驚いている顔が目に浮かぶようです。


突然なのですが、今蝶屋敷はたくさんの怪我人を受け入れている状態で、人手が圧倒的に足りていません。


そこで、Aの力を借りたいと思っています。時透さんには話をしていますので、今すぐ準備をして出来るだけ早く来てもらえないでしょうか。


久しぶりの文なのに、仕事の話で申し訳ないです。蝶屋敷に来たら、たくさん、お話聞かせてくださいね。



草々 胡蝶しのぶ』




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