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案外、可愛いものがお好きなんだな

とっても恰好良くて、それだけで腰を砕きに掛かれそうな色っぽい笑みを持つお隣さんの好物は

_____どうやら、マフィン


立原さんの云う意味は飲み込みきれてないけど

とにもかくにも、仕事が出来て頼りになって、部下から見て心強い上司なのだろうし、その上マンションの隣人にまで優しくて

そんな中原さんの肩書きが『マフィンの好きな幹部』だなんて、何だかずるいも気もしてくるくらいだ



「マフィン、ですか…」


ぼそりと単語を呟いて復唱した

「ン"、や、今のは違、」と言葉を詰まらせる中原さんの咳払いは遠くに聞こえて

代わりに私の頭を過ぎっていたのは__薄力粉とペーキングパウダー、それと卵に牛乳にバターなどなど



「あの、もし、今度作って差し入れたら、食べてくれたりします……?」



だって中原さんが、甘ーく香るマフィンを頬張る姿を想像したら

きっと丸く膨らんだ生地は遠慮なく食らい付かれるのだろう、それをもぐもぐ食す中原さんは、勝手だけど多分、リスみたいで




「……食うから、作ったら全部俺に持って来い」




良いな、なんて

中原さん以外にマフィンを作る_否、作りたい相手なんて思い付かなかったけれど

受け取ってくれると云うお返事にホッとして、素直に頷いて見せる

そんな私を、中原さんは、逸らした顔でちらりと盗み見るようにして



「んじゃ、そろそろ行かねぇと」

「わ、本当だ、もうこんな時間」



行ってらっしゃい、と手を小さく振れば、微笑んで返してくれた彼の後ろ姿を見送った

その後を

追い掛けようとした影が、はたと止まる



「……立原さん?」



訳を訊くように呼び掛ければ、立原さんはちょっぴり云いにくそうに、けれど心底判らないという風に口を開いた




「何で中也さんと付き合ってないんすか……?」




えっと、ちょっと待って欲しい

予想外を行き過ぎた立原さんの発言に、私が出来たのはただ固まることのみだ

" 付き合う " って、ソウイウ意味しか私は知らないのだけれど、まさか私と中原さんがなんて一度だって思ってもみなかった

それこそ私が何故と聞き返したい__付き合ってないことのどこが不思議なの、と




「俺、中也さんのあんな優しい表情(かお)、初めて見ました」




部下である彼はそう云うけれど、私の記憶は何度辿れど優しいあの人を映し出す

ほのかに甘い勘違いをしてしまいそうな私が居た



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(プロフ) - 完結おめでとうございます!鼻血が出過ぎてぶっ倒れる所でした(笑) 推し尊い…… (2019年4月3日 0時) (レス) id: 381002261f (このIDを非表示/違反報告)
まめ(プロフ) - 完結おめでとうございます!キュンキュンが止まりませんでした。ありがとうございます! (2019年4月2日 16時) (レス) id: 4d7fcc5e30 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 完結おめでとうございます。いいお話でした。 (2019年4月2日 15時) (レス) id: 1bfa3e637e (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - 更新されてる?( ☆∀☆) (2019年2月9日 10時) (レス) id: c23d485c4b (このIDを非表示/違反報告)
紅葉 - あぁ、、、推し(中也)が尊い、、、 (2019年2月9日 9時) (レス) id: c6be9b3184 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:どんぐり | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年3月21日 23時

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