【文スト】となりの太宰さん

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「太宰さーん、これどこに運びますか?」

「おい ! 貴様も手伝わんか ! 」



ヨコハマ某所にて
と或る探偵社員のお引っ越し

朝から慌ただしく声掛けが飛び交う



「太宰さん、前より荷物増えてません?」


「そりゃあ、二人分の荷物だもの


_____ね、Aちゃん?」







*





いつか思い付きな花火に散ったそこは、少し大きくなって再建されていた

とはいっても、二人分の荷物じゃあ、とてもじゃないけど狭くって

お互い色々整理しなくちゃな、と

大きく息を吸い胸を新しい空気で満たして、何気なくその玄関口へ目をやったら




「あれ、表札に私の名前がない」




あるのは『太宰』の文字一つだけ

いくら社員寮だからといったって、そういうところくらいは一応しっかり



「ああ、大丈夫」



と思ったところへ、いつの間にか隣に来ていた彼が
私を覗き込んで、それはにっこり笑うのだった




「どうせすぐ君も太宰になるから」

「え、……えっ！？」





*






そう悪戯に微笑んで見せるのも
今この手を深く指を絡め繋いでくるのも

「ねえ、キスして良い?」って
聞いておいて私の返事を待たないのも




全部、隣に居る大好きな人



となりの太宰さん




「不束者ですが、宜しくお願いします」
「こちらこそ、末永く宜しくね」



それはもう
単なるお隣さんへの挨拶じゃない

想いを誓い合う、約束の言葉なのでした






ー fin.ー

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